北山兼弘 農学研究科 教授、潮雅之 白眉センター 特定准教授、相場慎一郎 北海道大学 教授らの研究グループは、北ボルネオのキナバル山で熱帯降雨林の観測を10年間継続し、樹木成長には明確な12ヶ月の周期性があることを見いだしました。さらに、因果関係を特定できる独自の解析法を考案し、今回得られた長期観測データに適用したところ、熱帯収束帯の移動に伴う日平均気温の微妙な年内変動が12ヶ月の周期性を引き起こしていることが示されました。
これまで、赤道付近の熱帯降雨林帯では気候的な季節性が見られないことから、熱帯降雨林の植物には1年周期の季節変化が存在しないと思われてきました。
本研究成果から、樹木はわずかな気温変化に反応し、葉の展開や落下を同調的かつ周期的に生じさせることで、新葉に依存する植食性昆虫や落葉を分解する土壌微生物にまで影響を及ぼしていると考えられます。また、地球温暖化が日平均気温の年内変動に影響を及ぼすことで、熱帯降雨林にかく乱を引き起こす可能性も示唆されます。
本研究成果は、2020年10月5日に、国際学術誌「Journal of Ecology」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1111/1365-2745.13500
Kanehiro Kitayama, Masayuki Ushio, Shin‐Ichiro Aiba (2021). Temperature is a dominant driver of distinct annual seasonality of leaf litter production of equatorial tropical rain forests. Journal of Ecology, 109(2), 727-736.