今回の学術情報メディアセンターセミナーでは、大枝真一 木更津工業高等専門学校情報工学科准教授、島田敬士 九州大学システム情報科学研究院准教授、山田恒夫 放送大学教養学部教授・一般社団法人日本IMS協会理事に講演していただきます。学内外を問わず多数の方の参加をお待ちしています。
基本情報
- 吉田キャンパス
吉田南構内マップ[93]
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_ys.html
- 在学生の方
- 一般・地域の方
イベント内容
16時30分~17時00分
講演者
大枝 真一(木更津工業高等専門学校情報工学科 准教授)
講演題目
「教育データマイニングによる試験結果からの潜在的スキル構造の抽出」
講演概要
近年、実用的なITS(Intelligent Tutoring Systems)や、LMS(Learning Management Systems)が普及し、教育現場でeラーニングが活用されています。ITSやLMSによって、学生の試験結果や学習過程のログデータを保存することが容易になりました。EDM(Educational Data Mining)では、これら膨大な教育関連のデータから、いかにして意味のある情報を抜き出すかが焦点となる研究分野であり、BigData研究の発展に伴って近年急速に注目されています。
教育機関では、講義後に学生がスキルを修得したことを確認するために試験を行います。スキルが適切に含まれた試験問題が作成されたならば、スキルの修得状況が学生の得点として反映されます。では、逆に、ITSやLMSのデータベースに蓄積された膨大な試験結果データから潜在的スキル構造を抽出することはできないでしょうか。本講演では、試験結果と学習過程のログデータから、知識を修得するために必要な潜在的スキル構造を抽出する手法について紹介します。
17時00分~17時30分
講演者
島田 敬士(九州大学システム情報科学研究院 准教授)
講演題目
「リアルタイム学習分析に基づく講義支援」
講演概要
九州大学では2014年度より教育ビッグデータを利用した学習分析の研究を進めています。学習管理システムやデジタル教科書システムからは日々22万件を超える学習ログが蓄積され、それらの分析を通して教育改善や学習改善に取り組んでいます。本講演では、これまでの学習分析に関する成果に加え、最新の取り組みであるリアルタイム処理に基づく講義支援について紹介します。
17時30分~18時00分
講演者
山田 恒夫(放送大学教養学部 教授・一般社団法人日本IMS協会 理事)
講演題目
「学習解析と教育情報ビッグデータ:IMS技術標準」
講演概要
北米に本拠を置くIMS Global Learning Consortiumは、e-LearningやICT教育利用のための技術標準を提案する国際標準化団体です。この数年EDUCAUSEとともに、サイロ化しがちな教育情報システムを連携させたエコシステム、「次世代電子学習基盤」(Next Generation Digital Learning Environments, NGDLE、「LMSの次」)の検討を行っています。
教育情報システムは、学習管理システム(LMS)を中心とする、(学習者の)学習活動の制御と記録を目的とする学習過程マネジメント型システムと、eポートフォリオシステムや学務(教務、校務)システムなど、個人の学習成果や学習履歴を記録・保存する学習履歴ストア型システムに大別されます。それぞれのシステムに保存されるデータセット(ログ)は技術的には大差はありませんが、「パーソナルデータ」である学習成果や学習履歴については、運用上特別な配慮が必要とされます。だれが何の目的でどのデータにアクセス・分析でき、その分析結果をだれがどのように利用できるのか、コミュニティやステークホルダーで合意を形成しておく必要があります(合意形成過程のアウトカムは学習解析(LA)ポリシーなど)。本講演では、学習解析と教育情報ビッグデータに関わるIMS技術標準として、Caliper AnalyticsとOne Rosterの現状を説明するとともに、その実践例について紹介します。
備考
Tel : 075-753-9051
E-mail: uep*media.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)