学術情報メディアセンターでは、月に一度、各分野でご活躍の講師をお招きし、それぞれの研究開発活動の内容や現在抱えている課題について紹介いただき、参加者を含めて広く議論を行う機会として、月例セミナーを開催しています。
今回の学術情報メディアセンターセミナーでは、浅井光輝 九州大学工学研究院社会基盤部門准教授、森口周二 東北大学災害科学国際研究所准教授と高瀬慎介 東北大学工学研究科助教をお招きし、講演いただきます。学内外を問わず多数の方の参加をお待ちしています。
基本情報
- 吉田キャンパス
(お身体の不自由な方にはエレベーターをご利用いただけますので、事務室にお申し付けください。)
- 在学生の方
- 企業・研究者の方
- 一般・地域の方
イベント内容
16時30分~17時00分
講演者
浅井 光輝(九州大学 工学研究院 社会基盤部門 准教授)
講演題目
粒子法によるマルチスケール・マルチフィジックス津波被害予測解析
講演概要
東日本大震災以降、次に予想される津波に対して事前にその被害規模を推定する技術が望まれています。震源から構造物までを同じ空間スケールで解析することは非現実的であることから、震源からの津波伝搬、陸地への津波遡上、構造物倒壊も含んだマルチフィジックス問題を段階的に解析するマルチスケール解析技術を開発しています。なお、解析手法としては粒子法を選択しており、最後のスケールである解析では、地盤・構造・流体の連成問題を解くことで、堤防、家屋などを含む構造物の崩壊予測を最終目標と設定しています。
17時00分~17時30分
講演者
牛島 省(京都大学 学術情報メディアセンター 教授)
講演題目
マルチフェイズ並列計算法による津波漂流物輸送過程の数値解析
講演概要
3次元自由水面流れにより、多数の固体が接触を伴いながら輸送される問題や、固体が変形する問題など、固気液多相場における力学問題を扱う数値解法を紹介します。これらの数値解法のうち、固体を剛体と仮定し、流体・固体間の力学的な連成や、固体間の接触を比較的容易に扱うことが可能な手法を用いて、多数の津波漂流物の輸送過程を計算した結果を示します。この計算は、京都大学防災研究所との共同研究として実施した 1/250 スケールの市街地模型を用いた水理実験を対象としたもので、実験結果との比較を通じて数値解法の妥当性を検討します。
17時30分~18時00分
講演者
高瀬 慎介(東北大学 工学研究科 助教)
講演題目
安定化FEMと有限被覆法に基づく津波漂流物による建築物破壊予測解析
講演概要
波高の高い津波が遡上する場合に、多数の漂流物が輸送され、それらが衝突して建築物が破壊されるという災害が、東日本大震災の際には数多く発生しました。このような津波漂流物による建築物の破壊を数値的に評価するためには、流体構造連成と固体間の衝突・破壊過程を適切にモデル化し、スーパーコンピュータを利用した大規模・高速計算を行うことが必要です。このために、安定化有限要素法により流体解析をベースとして、有限被覆法と個別要素法を利用した流体構造連成計算手法を開発し、さらに漂流物の衝突による建築物の破壊までを扱う計算手法を構築しました。本講演では、この計算手法の内容と、適用例を紹介します。
18時00分~18時30分
講演者
森口 周二(東北大学 災害科学国際研究所 准教授)
講演題目
数値解析による自然災害の確率論的リスク評価
講演概要
高度に発達を遂げた数値解析は、災害研究の分野においても様々に活用されており、今後の防災・減災対策を進める上で重要な役割を担うことは間違いありません。しかし、自然災害には大きなバラツキが含まれるため、各種の不確実性を考慮する必要があります。つまり、自然災害に含まれる不確実性を定量化し、その上で数値解析を有効に活用してリスク評価を行う必要があります。本講演では、数値解析結果に基づく確率論的リスク評価の枠組みについて説明し、特に落石と津波をリスク評価対象として、その適用例を紹介します。
Tel: 075-753-7493
E-mail: ushijima*media.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)