テラヘルツ波がスピン流に変換される機構を実証・解明~通信、メモリ技術を革新する“スピントロニクス”発展に寄与~

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 菅大介 化学研究所准教授、森山貴広 名古屋大学教授、服部冬馬 同博士前期課程学生、夛田圭吾 同学部生、石川裕也 福井大学講師、藤井裕 同教授、山口裕資 同准教授、立松芳典 同教授、木俣基 東北大学准教授(研究当時)、木村尚次郎 同准教授、大江純一郎 東邦大学教授らの共同研究グループは、反強磁性体磁化ダイナミクスから生じるスピン流の検出に成功し、これまで知られていなかった、反強磁性体におけるスピンポンピング効果によるテラヘルツ波からスピン流への変換現象の微視的機構を明らかにしました。

 テラヘルツ波はbeyond 5Gなどの大容量・高速通信を担う周波数帯の電磁波です。反強磁性体はその磁気共鳴周波数がテラヘルツ領域にあるため、テラヘルツ波に応答する磁性材料として注目されています。

 本研究では、反強磁性体α-Fe2O3(酸化第二鉄/ヘマタイト)の二つの磁化ダイナミクスモードに着目し、それらのダイナミクスから生じるスピン流を検出することで、反強磁性体におけるスピンポンピング効果の発現機構を明らかにしました。本成果は、テラヘルツ技術とスピントロニクス技術を融合した「テラヘルツスピントロニクス」の核心であるテラヘルツ波からスピン流への変換を実証し、その機構を解明した極めて重要なマイルストーンとなるものです。本成果で得られた反強磁性体スピンポンピング効果の理解を基礎として、応用上重要であるテラヘルツ波からスピン流への変換の効率向上を目指す研究への展開や、反強磁性磁化とスピン流の相互作用物理のさらなる理解につながることが期待できます。

 本研究成果は、2024年12月17日に、国際学術誌「Physical Review Letters」に掲載されました。

 

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テラヘルツ波により励起されるスピンポンピング効果の概念図
研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.133.256701

【書誌情報】
T. Hattori, A. Fukuoka, K. Kawagita, K. Tada, Y. Ishikawa, Y. Yamaguchi, Y. Tatematsu, Y. Fujii, M. Kimata, S. Kimura, D. Kan, J. Ohe, T. Moriyama (2024). Inter- and Intrasublattice Spin Mixing Conductance of the Antiferromagnetic Spin Pumping Effect in α−Fe₂⁢O₃/Pt. Physical Review Letters, 133, 25, 256701.

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