スマートフォンアプリとライトグラスで睡眠改善―夜型生活者の不眠の改善効果の検証―

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 降籏隆二 学生総合支援機構准教授、石見拓 医学研究科教授らの研究グループは、夜型生活者の不眠を対象として、スマートフォンアプリを用いた時間生物学的な睡眠行動療法(デジタルBBTI)と、LEDライトグラスを用いた光療法(LT)を併用する介入プログラム「デジタルBBTI with LT」を開発し、夜型生活者の不眠に対する有効性を検証しました。研究に使用したスマートフォンアプリ「SleepHealthy-Eveningtype」は降籏准教授の研究グループが独自に開発しました。

 介入プログラムの有効性を検証するために、夜型生活者で不眠がある大学生28名(介入群[n=14]と対照群[n=14])を対象として、並行群間無作為化対象試験を行いました。介入期間は4週間でした。主要評価項目として不眠重症度質問票(ISI)を測定しました。

 主要評価項目に関して、組入時のISIの平均値は介入群12.2、対照群12.5でしたが、4週間後の平均値は介入群7.2、対照群10.6であり、線形混合モデルを用いた検定の結果、ISIの変化の違いは統計学的に有意でした (P < 0.001)。これにより夜型生活者の不眠を対象とした臨床試験において、デジタルBBTI with LTの有効性が示されました。

 本研究成果は、2024年9月23日に、国際学術誌「Journal of Sleep Research」にオンライン掲載されました。

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研究概念図
研究者のコメント
「『朝起きられなくて、学校や仕事に遅刻を繰り返してしまう』、『早朝に無理やり起きても調子がでない』、『夜は寝ようと思って寝床についてもなかなか眠れない』といった睡眠の悩みが原因で就学や就労に支障をきたす方や、こうした苦痛があっても医療機関を受診されない方は多くおられます。また医療には地域格差があり、専門的な治療を受ける機会が持てない方も多くおられます。治療のエッセンスを幅広く届け、皆様の健康増進に役立つ方法を開発することが本研究の目的です。」(降籏隆二)
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1111/jsr.14361

【書誌情報】
Ryuji Furihata, Tomonari Shimamoto, Yurina Ikeda, Yuto Makino, Yukako Nakagami, Yukiko Tateyama, Satoe Okabayashi, Toshiki Akahoshi, Kosuke Kiyohara, Taku Iwami (2024). Efficacy of digital brief behavioural treatment for insomnia using a smartphone application in conjunction with light therapy in university students with insomnia symptoms with late chronotypes: A pilot randomized–controlled trial. Journal of Sleep Research, e14361.