高田彰二 理学研究科教授、長江文律立 同博士課程学生は、上村想太郎 東京大学教授、野澤光輝 同修士課程学生、荻原智 同修士課程学生、平野里奈 同博士課程学生(研究当時)、赤津綜隆 同博士課程生、飯塚怜 同助教、胡桃坂仁志 同教授、鯨井智也 同助教、山崎洋人 長岡技術科学大学産学融合特任講師らとの共同研究で、ソリッドステートナノポアを用いて、ヒストンバリアントH2A.Bを含むヌクレオソームでは通常型のヌクレオソームと比べてDNAが巻き戻されやすく、その過程でヒストンが解離しやすくなっていることを明らかにしました。
ヒストンバリアントH2A.Bを含むヌクレオソームは、精巣やがん細胞に局在していることが明らかにされており、転写の活性化などに関与していることが示唆されています。しかし、その転写活性化の機構は明らかにされていませんでした。本研究では、ナノポア計測という手法を用い、転写様式を模したDNAの巻き戻しを行いながらその崩壊過程を計測することで、H2A.Bを含むヌクレオソームの構造安定性が低下することを明らかにしました。さらに、その崩壊過程には不均一な経路が存在することも明らかになりました。この実験手法は、転写時のヌクレオソームの動態を解析する重要なものになると期待されます。
本研究成果は、2024年9月14日に、国際学術誌「Communications Biology」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1038/s42003-024-06856-5
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/290567
【書誌情報】
Hikaru Nozawa, Fritz Nagae, Satoshi Ogihara, Rina Hirano, Hirohito Yamazaki, Ryo Iizuka, Munetaka Akatsu, Tomoya Kujirai, Shoji Takada, Hitoshi Kurumizaka, Sotaro Uemura (2024). Nucleosomal DNA unwinding pathway through canonical and non-canonical histone disassembly. Communications Biology, 7, 1144.