有松亘 白眉センター/理学研究科特定助教を中心とする研究グループは、2023年3月5日に発生した、はやぶさ2拡張ミッションのターゲット小惑星(98943)2001 CC21による恒星掩蔽(えんぺい)現象(恒星食)の観測・解析により、小惑星の形状を推定することに成功しました。本研究では、新たなデータ解析技術DOUSHITE(Diffracted Occultation’s United Simulator for Highly Informative Transient Explorations: ドウシテ)を用いて、掩蔽時の恒星の明るさの変化を正確にモデル化し、小惑星が細長い形状をもっていることを明らかにしました。掩蔽発生当日には日本全国の20箇所でアマチュア観測家が中心となって観測が実施され、このうち1地点でのみ減光が観測されましたが、DOUSHITEにより形状の推定がはじめて可能となりました。本研究成果は、アマチュア観測とプロの天文学者による高度な解析技術のコラボレーションによるものであり、2026年に予定されているはやぶさ2拡張ミッションでの小惑星(98943)2001 CC21へのフライバイミッションの成功に大きく貢献します。
本研究成果は、2024年7月23日に、国際学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan(欧文研究報告)」にオンライン掲載されました。
「掩蔽観測楽しいよ!みんなやってみて!」
【DOI】
https://doi.org/10.1093/pasj/psae060
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/290353
【書誌情報】
Ko Arimatsu, Fumi Yoshida, Tsutomu Hayamizu, Miyoshi Ida, George L Hashimoto, Takashi Abe, Hiroshi Akitaya, Akari Aratani, Hidekazu Fukuda, Yasuhide Fujita, Takao Fujiwara, Toshihiro Horikawa, Tamio Iihoshi, Kazuyoshi Imamura, Ryo Imazawa, Hisashi Kasebe, Ryosuke Kawasaki, Hiroshi Kishimoto, Kazuhisa Mishima, Machiko Miyachi, Masanori Mizutani, Maya Nakajima, Hiroyoshi Nakatani, Kazuhiko Okamura, Misaki Okanobu, Masataka Okuda, Yuji Suzuki, Naoto Tatsumi, Masafumi Uno, Hidehito Yamamura, Mikoto Yasue, Hideki Yoshihara, Masatoshi Hirabayashi, Makoto Yoshikawa (2024). Diffraction modelling of a 2023 March 5 stellar occultation by subkilometer-sized asteroid (98943) 2001 CC21. Publications of the Astronomical Society of Japan, psae060.
産経新聞(8月3日 24面)、日本経済新聞(8月5日夕刊 9面)に掲載されました。