高田昌彦 霊長類研究所教授、井上謙一 同助教、平林敏行 量子科学技術研究開発機構主幹研究員、南本敬史 同グループリーダーらの研究グループは、化学遺伝学法という脳活動の操作法と、全脳の活動が見える機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を組み合わせて、一部の脳活動をピンポイントで止めて、その時の全脳への影響を見る新しい手法を開発し、これまでの常識を覆して「手と足の感覚情報処理が、実は脳の中でつながっている」ことを世界で初めて明らかにしました。
本研究グループは、脳の活動を操作する方法(化学遺伝学法)と全脳の活動を見る技術(fMRI)を組み合わせて、サルで一部の脳活動を一時的に止めた時に、脳のほかの部位の活動が変化するかを見る手法を開発しました。
脳内のある一か所の不具合が、一見関連が無さそうな別の場所の機能異常につながることを明らかにした今回の発見と手法は、多様な症状を示す精神・神経疾患の病態解明や症状の予測・制御につながると期待されます。
本研究成果は、2021年10月21日に、国際学術誌「Neuron」のオンライン版に掲載されました。
【DOI】https://doi.org/10.1016/j.neuron.2021.08.032
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/265516
Toshiyuki Hirabayashi, Yuji Nagai, Yukiko Hori, Ken-ichi Inoue, Ichio Aoki, Masahiko Takada, Tetsuya Suhara, Makoto Higuchi, Takafumi Minamimoto (2021). Chemogenetic sensory fMRI reveals behaviorally relevant bidirectional changes in primate somatosensory network. Neuron, 109(20), 3312-3322.