社会性の発達を調節する新たな機構を発見

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 深井周也 理学研究科教授、吉田知之 富山大学准教授らの研究グループは、社会性の発達を制御する新しい分子機構を明らかにしました。

 シナプスに存在する細胞接着分子であるニューロリジン3タンパク質は社会性発達の障害を伴う自閉スペクトラム症の発病に関わることが知られていましたが、どのように社会性を調節するかはよくわかっていませんでした。

 今回、ニューロリジン3がシナプスを挟んで受容体チロシン脱リン酸化酵素PTPδ(デルタ)およびニューレキシンと競合的に結合することで、社会性発達を双方向性に調節することを見出しました。今回の研究成果は、自閉スペクトラム症の発病機構の理解や新たな創薬・治療戦略の確立に繋がるものと期待されます。

 本研究成果は、2021年3月23日に、国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

ニューロリジン3- PTPδ複合体の構造
図:ニューロリジン3- PTPδ複合体の構造
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【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41467-021-22059-6

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/262408

Tomoyuki Yoshida, Atsushi Yamagata, Ayako Imai, Juhyon Kim, Hironori Izumi, Shogo Nakashima, Tomoko Shiroshima, Asami Maeda, Shiho Iwasawa-Okamoto, Kenji Azechi, Fumina Osaka, Takashi Saitoh, Katsumi Maenaka, Takashi Shimada, Yuko Fukata, Masaki Fukata, Jumpei Matsumoto, Hisao Nishijo, Keizo Takao, Shinji Tanaka, Shigeo Okabe, Katsuhiko Tabuchi, Takeshi Uemura, Masayoshi Mishina, Hisashi Mori & Shuya Fukai (2021). Canonical versus non-canonical transsynaptic signaling of neuroligin 3 tunes development of sociality in mice. Nature Communications, 12:1848.