価値あるものを見つける神経回路機構を解明 -価値情報を眼球運動に変換する仕組み-

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網田英敏 霊長類研究所 特定助教、井上謙一 同助教、高田昌彦 同教授は、彦坂興秀 米国国立衛生研究所(NIH) 博士らと共同で、価値あるものを見つけるための神経回路メカニズムを解明しました。

ヒトを含む動物は、日常、価値の高いものに対して、より素早く、より頻繁に、より長く目を向けることが知られています。しかし、脳がどのようにして価値の高いものに目を向けるよう眼球運動をコントロールしているかについては明らかになっていませんでした。

今回、本研究グループは、サルを用いた光遺伝学的手法により、価値に基づく行動に関与する大脳基底核の神経回路を人為的に操作しました。価値情報を伝達していると考えられる線条体(特に尾状核)から黒質網様部への神経回路を光照射により選択的に活性化させたところ、眼球運動を調節する中脳の上丘で神経活動が亢進し、それに伴って、ターゲットへの眼球運動が誘発されました。このメカニズムは、価値に基づく効率的な視覚探索をおこなうことに寄与していると考えられます。

本研究成果は、2020年4月20日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41467-020-15802-y

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/250479

Hidetoshi Amita, Hyoung F. Kim, Ken-ichi Inoue, Masahiko Takada & Okihide Hikosaka (2020). Optogenetic manipulation of a value-coding pathway from the primate caudate tail facilitates saccadic gaze shift. Nature communication, 11:1876.

  • 日刊工業新聞(4月21日 26面)に掲載されました。