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宮内雄平 エネルギー理工学研究所 准教授、伊丹健一郎 名古屋大学教授、生津資大 愛知工業大学 教授らの研究グループは、多様な構造を持つカーボンナノチューブの中で、引っ張りに強いナノチューブの構造を特定しました。
カーボンナノチューブは軽くて丈夫な物質で、宇宙エレベーターを含め、構造材料物質として期待されています。しかし、引っ張りに対する強さ(引張強度)が試料ごとに大きくばらついており、どのようなチューブが強いのかは分かっていませんでした。
本研究では、炭素の並び方(幾何構造)を決定した単層カーボンナノチューブの引張強度の直接測定に世界で初めて成功しました。その結果、直径が小さい「近アームチェア型」と呼ばれる構造のカーボンナノチューブが高い引張強度を持つことが明らかとなりました。さらに実験結果の解析から、幾何構造と引張強度に強い相関があることが分かり、その関係式を見いだしました。
本研究成果は、カーボンナノチューブの引張強度を決める要因を世界で初めて明らかにしたという基礎科学的な意義に加えて、カーボンナノチューブを用いた強くて軽い究極の構造材料の実現に向けた明確な指針を与えるものです。
本研究成果は、2019年7月10日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41467-019-10959-7【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/242959
Akira Takakura, Ko Beppu, Taishi Nishihara, Akihito Fukui, Takahiro Kozeki, Takahiro Namazu, Yuhei Miyauchi & Kenichiro Itami (2019). Strength of carbon nanotubes depends on their chemical structures. Nature Communications, 10:3040.