糖尿病マーカー、ヘモグロビンA1cを直接酸化できる酵素の創製 -シンプルかつ短時間測定が可能な新規測定試薬開発に大きく前進-

ターゲット
公開日

橋本渉 農学研究科教授、村田幸作 摂南大学教授、協和メデックス株式会社らの研究グループは、糖尿病診断マーカーであるヘモグロビンA1c(HbA1c) 臨床検査試薬に応用が可能な改変酵素「HbA1cダイレクトオキシダーゼ」(HbA1cOX)の創製に成功しました。

本研究グループは、X線結晶構造解析の情報から見出された特定のアミノ酸の置き換えを鍵として、分子進化的手法を併用することにより、自然界で見出されていない人工酵素HbA1cOXを創製しました。

本研究成果により、現行のHbA1c酵素測定法では2種類の酵素による反応を必要としていますが(2ステップ法)、HbA1cOXを用いることにより、既存の測定法と比較して、シンプルかつ短時間の測定が可能になると考えられます(1ステップ法)。

糖尿病の予防のため日常的な血糖値管理の重要性が認識されていますが、1ステップ法の開発、実用化は世界的な要求に応えるものになることが期待されます。

本研究成果は、2019年1月30日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図: HbA1cOXを用いた新規「1ステップ法」と現行法「2ステップ法」の測定原理イメージ

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-018-37806-x

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/236130

Noriyuki Ogawa, Takehide Kimura, Fumi Umehara, Yuki Katayama, Go Nagai, Keiko Suzuki, Kazuo Aisaka, Yukie Maruyama, Takafumi Itoh, Wataru Hashimoto, Kousaku Murata & Michio Ichimura (2019). Creation of haemoglobin A1c direct oxidase from fructosyl peptide oxidase by combined structure-based site specific mutagenesis and random mutagenesis. Scientific Reports, 9:942.

  • 日刊工業新聞(1月31日 25面)、毎日新聞(2月20日 25面)および読売新聞(3月1日 29面)に掲載されました。