生物の複雑適応システムの進化機序に新たな規則を発見 -アリロボットの群れを「飼いならす」-

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土畑重人 農学研究科助教、藤澤隆介 九州工業大学准教授、一ノ瀬元喜 静岡大学准教授の研究グループは、アリの集団採餌を模倣した群ロボットシステムを用いることで、自己組織化を伴う複雑適応システムが進化する際に、システムを補助する性質がシステムそのものに先立って生じるという、一見矛盾した規則が存在することを発見しました。

本研究は、複雑でありながらも適応性を兼ね備えるという、生物システムが共通して示す特性が、進化の過程でどのように生じたのかについての新たな理論枠組を提示するものです。また、本研究で用いた手法は、ロボットシステムを生物学の研究補助ツールとしてではなく、研究対象そのものとして活用するもので、「ロボット行動学」とも呼ぶべき、分野横断型研究の新たなモデルケースとなることが期待されます。

本研究成果は、2019年1月18日に、国際学術誌「Communications Biology」に掲載されました。

図:本研究で用いた群ロボットシステムARGOS

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s42003-018-0276-3

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/236120

Ryusuke Fujisawa, Genki Ichinose & Shigeto Dobata (2019). Regulatory mechanism predates the evolution of self-organizing capacity in simulated ant-like robots. Communications Biology, 2:25.