次世代の指向性白色光源の開発に成功 -ナノアンテナで明日を照らす-

ターゲット
公開日

鎌倉涼介 工学研究科博士課程学生(現・スタンレー電気株式会社研究員)、村井俊介 同助教、藤田晃司 同教授、田中勝久 同教授、横林裕介 スタンレー電気株式会社研究員らの研究グループは、次世代型の指向性白色光源開発に成功しました。

広く普及している白色LEDの次の照明として、青色LEDの替わりに青色レーザーダイオードを用いる高輝度白色光源が一部実用化されています。このタイプの光源は青色レーザーと、青色を吸収して黄色に光る蛍光体からなりますが、まっすぐ進む青色レーザーと全方向に光る黄色の混色が難しい問題点がありました。

本研究グループは、金属ナノシリンダー周期アレイ構造を蛍光体基板上に作製することでこの問題を解決しました。蛍光体基板からの蛍光は全方向に放たれますが、金属ナノシリンダーアレイが蛍光の方向を揃える「ナノアンテナ」として働き、青色と蛍光の放射方向を揃えることで指向性を持った白色光を作り出すことができました。また、前方方向に蛍光を集めることで、前方方向への蛍光強度はアレイのない基板に比べ最大7倍にまで高められました。理論的にはさらに蛍光強度を高められる可能性があり、今後は強度を理論に近づける研究を継続するとともに、この技術を実際の照明に組み込む研究に取り組みます。

本研究成果は、2018年12月6日に、国際学術誌「Journal of Applied Physics」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究で開発した指向性白色光源のイメージ

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1063/1.5050993

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/235593

Ryosuke Kamakura, Shunsuke Murai, Yusuke Yokobayashi, Keijiro Takashima, Masaru Kuramoto, Koji Fujita, and Katsuhisa Tanaka (2018). Enhanced photoluminescence and directional white-light generation by plasmonic array. Journal of Applied Physics, 124(21):213105.

  • 京都新聞(12月6日 26面)、日刊工業新聞(12月6日 26面)に掲載されました。