国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載した小型IoT用ゲートウェイの開発に成功

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原田博司 情報学研究科教授らの研究グループは、ローム株式会社、NextDrive株式会社、株式会社日新システムズと共同で、国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載した「モノ」のインターネット(Internet of Things、以下IoT) 用ゲートウェイの開発に成功しました。

本研究成果は、2017年5月24日より東京ビッグサイトで開催される「Wireless JAPAN 2017」のWi-SUNアライアンスブース(日新システムズ展示エリア)および、5月30日より台湾、台北で開催される「COMPUTEX 2017」にてデモ展示される予定です。

研究者からのコメント

現在、情報学研究科通信情報システム専攻原田研究室では、各個人の生体情報時系列計測データ、工場に設置された各種機器からの時系列計測データ等を用い、疾病、稼働リスクを予見・先取で発見することができる、各種社会リスクを低減する超ビッグデータプラットフォームに関する研究開発を行っています。この実現のためには、家庭内、工場内に設置された各種センサー、メーター、モニターから創出されたビッグデータを、有無線統合ネットワークにより効率的にインターネット/イントラネット上の処理エンジンに伝送する必要性があります。今回開発した小型IoT用ゲートウェイは、創出されたビッグデータを自身でネットワークに接続し、クラウドに蓄積させる機能だけではなく、収集したデータを別のIoT用ゲートウェイにWi-SUN FANによる多段中継で伝送することが可能であり、データ収集可能なエリアを拡張させ、より堅牢なビッグデータ創出用ネットワークを構築することができます。

本研究成果のポイント

  • カメラ、BLE(Bluetooth Low Energy)搭載センサー等での収集情報について、無線の多段中継によりビッグデータをクラウドまで伝送可能な小型IoT用ゲートウェイ(サイズ47×47×38mm)
  • 国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載することにより、IoT用ゲートウェイ同士を容易に多段中継(1段最大1km程度)し、通信エリアの面的カバー率を向上
  • 無線LANと異なる周波数を用い、無線LANとの干渉もなく、堅牢性の高いIoTネットワーク構築が可能

概要

従来のIoT用ゲートウェイは、Webカメラ、温湿度センサー等との組み合わせで、ホームセキュリティ、介護、環境計測等のために必要となる情報を収集し、携帯電話系、Wi-Fiによりクラウドに伝送することが可能でした。

本研究グループは、NextDrive社が開発した世界最小クラスIoT用ゲートウェイに、京都大学、ローム、日新システムズが開発したWi-SUN FAN対応の無線通信モジュールを搭載したIoT用ゲートウェイを開発しました。今回新たにWi-SUN FANに対応したことで、IoT用ゲートウェイ同士が多段中継伝送するマルチホップ機能により、収集したデータを別のIoT用ゲートウェイに多段中継する形での伝送が可能になり、通信エリアの面的カバー率が大幅に向上します。また、Wi-SUN FANはWi-Fiと異なる周波数を用いているため、Wi-Fiとの干渉もなく、堅牢性の高いIoTネットワーク構築が可能になります。これに加え、Bluetooth Low Energy(BLE)搭載のセンサーデバイスをWi-SUN FANに変換し、伝送することも可能です。

図:開発したIoT用ゲートウェイ(左、サイズ47×47×38mm)および搭載したWi-SUN FANモジュール(右)

詳しい研究内容について