オーロラ爆発はなぜ起こるのか? -スーパーコンピューターでオーロラ爆発の基本的な仕組みを明らかに-

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海老原祐輔 生存圏研究所准教授と田中高史 九州大学名誉教授らの研究グループは、オーロラが急激に明るく光り出す「オーロラ爆発」をスーパーコンピューターで再現し、長年の謎であったオーロラ爆発の基本的なメカニズムを解明しました。

本研究成果は、アメリカの専門誌「ジャーナル・オブ・ジオフィジカルリサーチ」誌の電子版で12月21日午前0時(米国東部時間)に公開されました。

研究者からのコメント

海老原准教授

美しいオーロラの核心に一歩近づいたかもしれません。はためくカーテン状のオーロラや渦巻くオーロラなどのオーロラらしさがなぜ現れるのか、その理由を全体システムの文脈で明らかにするとともに、オーロラと社会との関係を調べていきたいと思います。

概要

オーロラ爆発の基本的な仕組みは長年の謎でした。そこで、本研究チームは、オーロラが急激に明るく光り出す「オーロラ爆発」現象をスーパーコンピューターで再現し、詳しく解析しました。

その結果、地球近くの宇宙空間でおこる磁力線のつなぎ替えをきっかけとして高緯度地方の上空に熱いプラズマが集まり、それらが自ら回転運動をはじめることで大電流を急激に作り出し、オーロラ爆発が始まることを突き止めました。さらに、オーロラの近くで電気が余るために周囲のプラズマが回転運動をはじめ、宇宙空間に向けて薄い上向き電流を流すことでサージと呼ばれるオーロラ爆発特有の極めて明るいオーロラが現れることも分かりました。これらは世界で初めて得た知見であり、これまでの定説を大きく覆すもので、オーロラ嵐の全容解明に向けて大きなブレイクスルーになると期待されます。

(上)人工衛星が撮影した宇宙から見たオーロラ爆発。オーロラは常に地球の極を取り囲むように光っている。これをオーロラ・オーバルと呼ぶ。オーロラ・オーバルの一部が突然明るく光りだし、明るいオーロラが北極方向、そして西向きに拡がる。その先端をサージと呼ぶ。
(下)シミュレーションで再現したオーロラ爆発。オーロラの突然の増光、西向きに動くサージというオーロラ爆発の特徴をシミュレーションで再現することができた。

詳しい研究内容について

書誌情報

[DOI] http://dx.doi.org/10.1002/2015JA021697
[KURENAIアクセスURL] http://hdl.handle.net/2433/202825

Y. Ebihara and T. Tanaka
"Substorm simulation: Formation of westward traveling surge"
Journal of Geophysical Research: Space Physics, Accepted manuscript online: 14 November 2015

  • 京都新聞(12月22日 24面)および産経新聞(12月23日 18面)に掲載されました。