京都大学では、「文部科学省 情報ひろば」旧庁舎3階企画展示室にて、企画展示「バイオ3Dプリンタから作製した神経導管による末梢神経再生医療」を開催します。
末梢神経損傷は交通事故、労働災害、家事などのさまざまな場面で発症し、本邦においては1年間で1万人以上受傷する比較的頻度の高い外傷性疾患です。末梢神経の切断が鋭利な場合には切れた神経同士を縫合する手術が行われますが、広範囲に及ぶ損傷や汚染された創傷の場合は直接神経同士を縫合することが困難なことから、患者自身の他の場所の神経を採取し、移植する自家神経移植術が行われます。この自家神経移植術は健康な神経を犠牲にすることから、神経を採取した部位の感覚障害や神経過敏を引きおこし、必ずしも患者にとって最良の治療方法ではありません。そこで世界中で人工的な化学素材を用いた神経の筒(神経導管)による神経再生技術の開発が行われていますが、あまり良好な神経再生が得られないことから普及していません。
これまでに本学は、株式会社サイフューズが開発したバイオ3Dプリンタを用いて、生きた細胞だけで三次元神経導管を作製し、ラットやイヌの末梢神経損傷箇所に移植することで良好な神経再生を得る事に成功しました。そこで2020年11月より末梢神経を損傷した患者に、バイオ3Dプリンタから作製した神経導管を移植する世界初の末梢神経再生の医師主導治験を医学部附属病院にて開始し、良好な結果を得ています。 今回の展示では、この末梢神経再生に関わる最先端技術を、展示品・パネル・映像によって紹介します。
展示概要
1. 展示期間
2022年5月27日(金曜日)~2022年7月12日(火曜日)
2. 開館時間
平日10時00分~18時00分(入館は17時30分まで)
3. 展示会場
「文部科学省 情報ひろば」旧庁舎3階企画展示室(入場無料)
文部科学省 情報ひろば
4. 展示内容
展示品
- バイオ3Dプリンタ
- 積層用剣山
- デモ用三次元神経導管
※ バイオ3Dプリンタの展示は、2022年7月11日(月曜日)までとなります。
映像・パネル
- バイオ3Dプリンタから作製した神経導管による末梢神経再生医療技術の紹介
- 最先端の医療治験を安全に、質の高い医療で実践するための専門職の思い