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東京都内の機械振興会館で、京都大学技術士会が主催する第12回講演会(イブニングセミナー東京)が開催されました。この行事は、同会の主要事業の一つである会員の継続研鑽を目的として企画されたもので、関東地区に在住する会員を中心に50名におよぶ参加がありました。
講演会は、下村泰造 幹事(工学研究科・1994年修了)の司会進行により行われました。冒頭では、石原吉雄 代表幹事(工学研究科・1988年修了)による開会挨拶の 後 、本講演会の趣旨説明等がありました。続いて、室野剛隆 鉄道総合技術研究所研究開発推進部JR部長(工学研究科・1993年修了)による「『鉄道の耐震設計における危機耐性』 -その考え方と取組み-」と題した講演が行われ、長年培われてきた耐震工学を背景に構造物の危機耐性の定義およびその対策について、具体的な数値解析を駆使した評価手法を元に語られました。2012(平成24)年に改訂された鉄道の設計基準において「危機耐性」という新しい概念が導入され、「想定を超えた地震が発生しても破局的な状態に至るのを回避する能力」が定義されましたが、当時は概念的な取り扱いに留まっていました。しかし、自重補償機構や倒壊方向制御機構などの構造開発を行うことで、具体的な解決手法が得られたことなどが語られ、聴講者の多くの共感を呼びました。講演後の質疑応答では、橋梁構造物のみならず、トンネル構造物に関する危機耐性についても話題に上がるなど、盛会のうちに終了となりました。
講演会終了後の懇親会では、新原雄二副代表幹事(工学研究科・1993年修了)の司会進行のもと、講演者も含め参加者が歓談・交流を楽しみました。