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連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」のシリーズ27は、「国際社会の中の日本-日本の果たす役割-」をテーマに「京都アカデミアフォーラム」in丸の内で開催しました。
シリーズ27の第4回は、「国連の平和維持活動(PKO)と日本」と題し、酒井啓亘 法学研究科教授が講演を行いました。
酒井教授は、まず国連のPKOの定義、活動原則、これまでの展開状況等の歴史について説明しました。具体的には、PKO活動は、国連が関係国の同意のもとに一定の軍事組織を現地に派遣し、その中立的役割を通じて事態の悪化を防止し、紛争の平和的解決への素地をつくることを活動原則(同意原則、中立・公平原則、自衛原則)としていましたが、冷戦後におけるPKO活動の失敗例や成功例から、1990年代後半からは、国連憲章第7章に基づく自衛範囲を超えた武力行使等を伴う「強化された」PKOが主流となったことを解説しました。そして、現在の自衛を超える武力行使が許可された任務を実施する国連PKO活動への日本の参加について、憲法上の自衛の範囲に触れながら説明し、紛争等へ自衛隊を派遣するだけではなく、参加可能な活動を自国の安全保障政策や現地のニーズを考慮しながら再検討すること、社会インフラ整備等の現地安定化に貢献すること等も必要であると述べ、参加に向けての課題について言及しました。 来場者からは、「PKO活動の歴史的背景が分かり、よく理解できた」、「今後のPKO活動について、どうするかを考えていきたい」等の感想が寄せられ、国連平和維持活動について考える良い機会となりました。