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連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」のシリーズ27は、「国際社会の中の日本-日本の果たす役割-」をテーマに「京都アカデミアフォーラム」in丸の内で開催しました。
シリーズ27の第2回は、「インドネシアにおける荒廃乾燥泥炭地の回復への挑戦」と題し、水野広祐 東南アジア地域研究研究所教授が講演を行いました。
水野教授は、まず東南アジアに広く存在する熱帯泥炭地の状況について、地球上の熱帯泥炭地の76%を占めること、アブラヤシや林業プランテーション利用のための排水による乾燥化で火災が発生し、煙害による健康被害や炭素放出量増加による地球温暖化問題があること等に触れながら説明しました。インドネシアにおいても同様であり、長期的な解決策として泥炭再湿地化を求める声が多く、その取り組み内容について、特に現地で効果が高いと好評であった「政府指定の森林地域の泥炭地の土地所有権を住民に付与する社会林業のモデルケース」等を例にあげて、フィールドワークで得た写真やデータを用いて解説しました。そして、地域の人々の創意を生かし、人々がやる気を出して泥炭地回復に取り組む施策等を実施し、荒廃乾燥泥炭地を復興させて発展することが必要であると述べ、アブラヤシを原料とする洗剤等、多くの資源を輸入している日本においても、環境負荷を抑え、インドネシアと協働して、経済発展に貢献することが重要であると締めくくりました。
来場者は、現地でのフィールド調査で得た写真やデータを基に、インドネシアにおける泥炭地の状況について講演する水野教授の話に、熱心に耳を傾けていました。