「平成29年度 多文化共学短期[派遣]留学プログラム」の一環として、香港中文大学サマープログラム(中国語コース)に本学学生7名が参加しました。
参加した本学学生は、4レベルに分かれて集中的に中国語を学び、運用能力の向上を図りました。また、本サマースクールは、マカオや香港、深セン等へのフィールドトリップも充実しており、中国と西洋が融合する文化に触れ、躍動する香港経済を体感する機会を得ることができました。
本プログラムは、「多文化共学」の名の通り、多様な文化的背景を持つ学生たちとともに学ぶことを重視しています。中国語クラスでは、世界中から集った留学生と学び、また香港中文大学の学生との共同セミナーにおいては、香港中文大学歴史学科の協力のもと、双方の学生が文化や社会事象についてのプレゼンテーションを行い、活発な意見交換を行いました。
参加学生の報告
班長 文学部4回生
授業は、平日9時30分~12時15分までの午前セクションと14時30分~16時15分までの午後セクションで構成されており、文法と会話の授業をそれぞれ異なる先生が隔日で担当していました。私が受けていた一番上のレベルの授業では、主に中国人の人間関係上のマナーやコミュニケーション方式といった内容について学びました。授業での使用言語はすべて中国語(普通話)でしたが、先生の話す中国語は、中国語話者が実際に日常的に話すそれよりも、かなりはっきりゆっくりしている印象を受けました。課題は、二日に一度の作文と毎日の単語や聞き取りの小テストに加えて、既習内容にまつわるプレゼンテーションを二度課されました。毎日およそ5時間中国語を集中的に聞き続けたため、参加者は総じて聞く力の向上を実感していました。
プログラムの一週目には、香港中文大学歴史学科の学部生と交流会を行いました。京都大学側は、京町家の保全、日本と香港の食料自給率、京大の学生生活について、香港中文大学側は、香港の発展、失われゆく食文化、香港の自然公園、日本と香港のお盆について、発表し、議論しました。香港中文大学の学生は、日本の学生とは比べものにならないくらい、香港の歴史や文化、また香港人であることに、強い誇りや矜持を持っていると強く感じました。それも「大国」に翻弄され続ける香港の運命の結果なのだろうかと、香港の過去や現在を改めて見つめ直す良い機会となりました。
今回のプログラムで得られた多くの身体経験から、国家とは何か、発展とは何か、人間はどう思考しどう行動するのかといったことについて、思考をより深めることができ、非常に有意義な時間となりました。3週間共に行動し共に学んだすべての仲間たちに心より感謝します。謝謝大家!
副班長 法学部5回生 松本晏奈
香港中文大学サマースクールには、日本人学生を中心として、世界中の大学からおよそ100人の学生が参加しており、澳門や深センへの小旅行や香港でのアクティビティ等を経ながら、中国語レベルに応じた4つのクラスの中で、3週間中国語を学習します。
私は参加前、3週間という期間を非常に短いものに感じていました。本プログラムに参加する前の9か月間の英語圏での交換留学という“外国語”圏での生活経験から得た多くのものの1つが、新たな言語を習得することの終わりのなさ、であった為でした。
それゆえ私が意識したことは、授業内外での中国語学習、現地の人々との交流や文化体験等、あらゆる生活場面において、その土地でしか得られないものを意識的に享受することでした。そのような意識の下で過ごした1日は、毎日が3日程の長さに感じ、プログラムを終え、出立した関西空港のターミナルに再び降り立った際には、以前この場にいた時からたった3週間しか経っていないとは、まるで信じ難い感覚を抱きました。
3週間の授業から得られる語彙量や語法量は限られているとしても、中国語を用いて積極的に発言することへの心理的抵抗を大きく下げ、今後の円滑な学習深化の基盤となり、また、香港という土地への理解の深化、日本人であることに対する相対的な視点の強化をもたらしてくれました。
このような貴重な時間を得られたことの有難さを実感すると共に、本プログラムに参加するにあたり大変お世話になりました、香港中文大学、および京都大学の皆さまに改めて感謝致します。本当に有難うございました。