京大おもろトークは、京都大学の教職員、研究者、学生達による芸術分野の「おもしろい」発想(独創的な研究)と国内外の「おもしろい」文化芸術家との意見交換の場をつくり、文化芸術との連携を本学から発信するものです。
今回は、「矛盾をはらんだ創造」をテーマとして、学外からは高橋剣 東映株式会社京都撮影所製作部次長、北野貴章 株式会社テレビ朝日「しくじり先生」チーフディレクター、学内からは富田直秀 工学研究科教授が講演を行い、講演後に山極壽一 総長、酒井敏 人間・環境学研究科教授、土佐尚子 高等教育研究開発推進センター教授が加わって、全体トークと質疑応答が行われ、学内外から約200名の参加がありました。
まず高橋次長が時代劇にはらむ矛盾をテーマに講演をしました。映画「忠次旅日記」を例に、制作されたその時代の事柄を扱う時代劇は実は現代劇であり、それによって寓意性がより際立つことを解説しました。北野チーフディレクターは自らの新入社員時代の失敗体験そのものをモチーフに番組を立ち上げ、ヒットさせたエピソードを披露し、矛盾の中からこそ創造が生まれることを説明しました。富田教授は「何が正しいか」の前に「何が本当か」を考えることが重要であることを述べ、矛盾を避けずにかえってそこへ向かっていく「アート視点」の教育が急務であることを説明しました。
全体トークでは、3名の講演者に山極総長、土佐教授、酒井教授が加わり、先の3名の講演内容を発展させた議論を行いました。他者とのズレからその隙間に眼をつけて創造していくという点に北野チーフディレクターと富田教授の接点があることや、現代の事柄を投影する時代劇を作ること、昔から扱われる物語が変わらない歌舞伎のような伝統芸能との差異についてなど、熱の入ったディスカッションに会場は大変盛り上がりました。
参加者からは、「第一線でご活躍されている方の話を生で聞くことが出来て貴重な機会だった」、「テーマが京大らしくてよかった」、「「矛盾」をどうとらえるか、3人のパネラーが違う視点から語られ大変面白かった」、「それぞれの立場・経歴によって話はさまざまでしたが、共通したものが感じられて興味深かった」などの感想が寄せられました。
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京都大学オープンコースウェアにて講演映像を公開しています。