降るごとに少しずつ暖かくなると言われる春雨の中、京都大学基金「サロントークin花咲月」を百周年時計台記念館で開催しました。本学同窓生である京都の企業経営者の方を中心に20名のご参加をいただきました。
「京都大学と産業界、地域が一体となって楽しいことを発想し、京都を盛り立てるためにも、本学と皆さまとの関係深化を図りたい」。冒頭挨拶で、山極壽一 総長が本会の趣旨を説明して始まりました。
講演会を軸としたイベントですが、飲み物やお菓子などを楽しみながら、くつろいだ雰囲気でお聴きいただけるようにしました。
講演者は、アスリ・チョルパン 経営管理研究部・白眉センター准教授。「新興経済における企業の成長モデル」と題して、新興経済国における中堅・中小企業の成長の理由や、成熟経済国との成長モデルの違い、あるいは国内市場における製品多角化と事業国際化を中心に講演を行いました。特に、新興経済国に多く見られるビジネス・グループの実態については、アジア圏での事業展開を行っている企業経営者の方々が参加していたこともあり、興味を引かれた様子でした。質疑応答でも、それぞれの経験に基づく海外のビジネス・グループに対する印象などが語られました。その一方で、参加者には京都の伝統産業に携わる経営者の方々も多く、チョルパン准教授と「京都の伝統産業企業が長く続く理由」について意見交換する場面もありました。
その後の懇親会では、チョルパン准教授のゼミの学生たちも加わり、「女性の活躍」や「グローバル化の中で文化の壁を取り払うための方法」など、よりテーマを広げた意見交換が行われました。
植田和弘 副学長からは、2022年に迎える本学の創立125周年に向け、同窓生や地域の皆さまのお声も伺いながら、記念事業を進めて行きたいとの挨拶があり、盛会のうちに閉会となりました。
「さまざまな分野の経営者との交流は今後の財産になる」「京都大学を中心とした、このようなネットワークをぜひ広げてほしい」など、参加者からは応援の声をいただきました。
本学の教育が「対話」を根幹としたものであるように、同窓生をはじめ多彩な分野で活躍される皆さまとの対話を大切にしながら、京都大学、そして京都大学基金に対してご理解、ご支援いただけるように努めていきます。