学術情報メディアセンターでは、月に一度、各分野でご活躍の講師をお招きし、それぞれの研究開発活動の内容や現在抱えている課題について紹介いただき、参加者を含めて広く議論を行う機会として、月例セミナーを開催しています。
1月26日の学術情報メディアセンターセミナーでは、政谷好伸 国立情報学研究所先端ICTセンター特任研究員および渡辺泰将 株式会社ドコモgacco・gaccoシステム開発プロジェクトマネージャをお招きし、講演いただきます。学内外を問わず多数の方の参加をお待ちしています。
基本情報
- 吉田キャンパス
http://www.media.kyoto-u.ac.jp/ja/access/index.html#s_bldg
(身体の不自由な方にはエレベーターをご利用いただけますので事務室にお申し付けください。)
- 在学生の方
- 一般・地域の方
イベント内容
開催趣旨
高等教育機関における学びや教えを支援するシステムは、教員のためのコース管理システム・学習管理システム(CMS/LMS)、学生のためのeポートフォリオシステム、大学のための教務情報システムが利用されるようになってきていますが、これまでの学びや教えの方法論を変えない範囲内での利用に留まっており、各システムに蓄積されつつあるさまざまなデータを解析・活用するラーニングアナリティクスをベースに、大学教育における効果的な利用法につなげていくことができる次世代デジタル学習環境の議論が行われています。しかしながら、教育は文化に依存する部分が多いため、日本には日本の文化にあった次世代デジタル学習環境が必要であり、具体的な議論と実装が求められています。
一方で、クラウドコンピューティングの進展により、計算機資源は「所有から利用へ」と変わり始めており、組織の枠を越えた計算機資源の仮想化と集約が始まっています。しかも、我が国の高等教育機関は、北米の大学と比べて極めて限られた予算の中で新しい情報環境の構築・運用を行わざるを得ないため、次世代デジタル学習環境の実現のためには、クラウド環境を前提に、運用しながら改善を続けていくDevOps (Development and Operations) という新しい方法論で取り組まざるを得ません。
そこで、本セミナーでは、ICT を活用した教育学習活動を支援する情報環境の整備において、DevOpsを実践されている二つの事例を紹介いただき、次世代デジタル学習環境におけるDevOpsについて議論します。
プログラム
16時30分 ~ 16時40分 | 開催趣旨 梶田将司(情報環境機構・学術情報メディアセンター教授) |
16時40分 ~17時20分 | 「Jupyter Notebookを用いたインフラ・コード化の実践」 -Literate Computing for Reproducible Infrastructure- 【講演者】 政谷好伸(国立情報学研究所先端ICTセンター特任研究員) 【講演概要】 クラウドサービスの浸透により、サービスの構築・再構築の機会が増加するのに伴って、作業手順をすべてCodeとして記述するInfrastructures as Codeというアプローチが着目されています。ここでの「as Code」は作業手順の正当性がプログラムコードのように、また実行結果も機械的に検証可能であるという意味合いで捉えられがちですが、むしろ個々の作業の再現性を保証し、その上で作業をカスタマイズ・再利用すると言ったプロセス自体を、Codeとして見える化し、伝達可能にすることにこそ意義があります。DevOpsにおいては、何某かを実際に構築したり機械化したりするだけではなく、設計情報、運用状態を伝達・共有できるようにすることが重要です。このような観点から、ワークフローと実行結果を一体としてドキュメント化できるJupyter Notebookを、クラウド基盤の構築、運用に活用している実践を紹介します。具体的にワークフローやコミュニケーションをどのように改善することができたかを説明します。 |
17時20分 ~ 18時00分 | 「Open edXベースのMOOCサービス「gacco」を支えるDevOps」 【講演者】 渡辺泰将(株式会社ドコモgacco・gaccoシステム開発プロジェクトマネージャ) 【講演概要】 無料で学べる大学講座「gacco(ガッコ)」は、米国edXのオープンソース版である「Open edX」をベースとしています。本家のコードは絶えず変化し、機能もセキュリティパッチも最短だと週次で動きがあるようなOSSです。このようなOSSをベースに、本サービスを維持・運営していく中に樹立していったgacco流のDevOpsについて話をします。 DevOpsには、そのためのツール等の環境整備・チーム形成が必須です。gaccoの場合、ソースコードおよび課題管理の基盤である「GitHub」を起点とし、ジョブの自動化基盤である「Jenkins」で単体・結合テストを回し、それらの情報をタスク管理ツール「Trello」、コミュニケーションツール「Slack」に情報集約するという体制をとっています。すでにDevOpsな方にも、これからの方にとっても、ケーススタディとしてご活用いただけるかと考えています。 |
18時00分 ~18時30分 | パネルディスカッション「DevOpsと次世代デジタル環境」 【ファシリテータ】 梶田将司 【パネリスト】 政谷好伸、渡辺泰将 |
申し込み
(懇親会は申し込みが必要です。)
備考
懇親会について
セミナー終了後、懇親会を開催します。参加を希望される場合は、メールの件名を「メディアセンターセミナー懇親会参加」として以下の申し込み先までお申し込みください。詳細は参加申し込み者に直接連絡します。(会費は2,000 円~3,000円程度、場所は京都大学内を予定しています。)申し込み先
E-mail: kajita*media.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)Tel: 075-753-9015
E-mail: kajita*media.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)