第1回は1969年秋、大学紛争のさなか、湯川秀樹先生、朝永振一郎先生を講師に招き、開催されました。以後46年、回を重ねること今回で54回に達しました。講演のテーマは、必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生諸君の参加も多く、またもとより公開でありますので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しています。
基本情報
- 吉田キャンパス
- 在学生の方
- 一般・地域の方
イベント内容
講演プログラム
「自由電子レーザーSACLAを用いた膜蛋白質の構造解析」(15時05分~16時05分)
岩田 想 京都大学医学研究科教授
放射線損傷は現在のタンパク質構造解析における最大の問題となっています。ミクロフォーカスビームラインを含む最新のビームラインにおいては、ほんの短い間のX線照射でもタンパク質結晶に非常に大きなダメージを与えます。この問題は膜タンパク質結晶の様な特に放射線損傷を受けやすい結晶ではより顕著です。日本の自由電子レーザーSACLAは、化学結合の切断されるより短い時間(<10fs)で生体高分子結晶からデータを収集することが可能な全く新しい光源です。我々はSACLAを使って、生物学的、医学的に重要な高難易度ターゲット結晶の解析速度を飛躍的に向上させる技術の開発を行っています。同時にその非常に短いパルス特性を生かして、タンパク質中での構造変化のスナップショットを撮る、動的構造解析も可能となりました。SACLAがライフサイエンスにどのようなパラダイムシフトをもたらすのか解説したいと思います。
「ヒトの詳細な理解と創薬を目指して」(16時10分~17時10分)
藤吉好則 名古屋大学創薬科学研究科特任教授
我々は、見て考えて行動するのですが、それを分子レベルから詳細に理解したいと考えて、水チャネルやイオンチャネル、各種受容体など、膜タンパク質の構造研究を電子顕微鏡技術開発と並行して行ってきました。生物物理学教室にお世話になった時から、膜タンパク質の構造と生理機能を理解する学問という意味で「構造生理学」と名付けた分野で研究を進めています。この研究分野では、Gタンパク質共役型受容体やチャネル等の研究が中心になりますが、これらは、創薬標的分子の40%程度を占めているので、その構造解析技術の開発は、製薬企業が進むべき1つの方向と考える「構造に指南された創薬戦略」としても重要です。この様に、個人的な興味で進める研究と並行して、創薬基盤技術開発を15年ほど続けています。両方ともまだ道半ばにも至っていませんが、これまでの経緯と結果を簡単にご紹介し、今後の展望についてもお話しできればと考えています。
申し込み
備考
京都大学理学部、財団法人湯川記念財団
京都大学理学研究科 社会交流室
Fax: 075-762-1346
E-mail: mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)