入倉副学長からのメッセージ

京都大学防災研究所の教授から一転して2004年4月から京都大学の「施設・研究・国際交流担当の理事・副学長をやっています。 4月1日からの国立大学の法人化で大学が自ら判断し決めて行かなければならないことが山積しており、予想以上(?)の激務とならざるを得ない状態です。
「施設」については、「法人化」で施設整備費が「運営交付金」とは別枠の補助金になり、国の財政事情を反映して従来に比べて一層の厳しさになっています。桂キャンパスの整備が遅れ、そのあおりで吉田キャンパス、宇治キャンパスの整備に支障が出てくる心配があります。京都大学が「資源としての施設を全体として有効に管理し、活用を図る」施設マネージメントが重要となってきました。
「研究」について、京都大学は「基本理念」の中で、研究の自由と自主、高い倫理性に基づいて世界に卓越した「知の創造」を行うことを高らかに謳い、そして基礎研究と応用研究、文系と理系の研究の多様な発展と統合を図る、と定めています。第3期の科学技術基本計画の策定が検討される中で、京都大学の理念が盛り込まれるようメッセージを発していく必要があります。
「国際交流」について、京都大学は
- 研究成果の国際的発信と国際連携、
- 国際的人材の養成、
- アジア、アフリカにおける地域研究とフィールド科学を重視する国際連携・協力、
などを目的として活動を行っている。それに加えて全世界に19ある海外拠点の連携による活用を検討しております。
その他、特命事項として京都大学に13ある附置研究所の担当も命ぜられております。「法人化」のうたい文句である「個性輝く大学」づくりに附置研究所の存在は欠かせないと思います。しかしながら、大学の「法人化」のなかで附置研究所の位置づけは未だ不透明です。附置研究所が大学のみならず、日本の科学技術の推進の主たる担い手となっていることに対する社会的理解を得るための活動が重要となっています。
副学長の仕事の傍ら、近い将来発生の予測される南海トラフ沿いの東海・南海地震、内陸活断層地震、による災害の軽減のための研究も続けたいと思っています。強震動の予測は地震災害軽減のためのキーとなるものであり、信頼性ある予測手法の研究は私のライフワークと考えております。