京都大学は、iPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥所長(物質-細胞統合システム拠点教授)の研究グループが世界で初めて樹立した人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell: iPS細胞)に関する特許について、出願を行っています。このたび、4つの遺伝子を用いてiPS細胞を作製する方法に関する米国特許(出願番号12/457,356、特許番号8,058,065)が1件成立しました。
京都大学は米国において、iPS細胞基本技術特許を1件成立させています(8月5日特許査定、11月1日特許登録、特許番号8,048,999)。今回の特許は、これに続き、2件目の米国特許となります。
山中伸弥教授のiPS細胞基本技術に関する特許は、本日までに、日本では3件成立しています。海外では米国に加えて、欧州、南アフリカ、ユーラシア、シンガポール、ニュージーランド、イスラエル、メキシコ、香港で成立しました。
京都大学は、国際出願(国際出願番号PCT/JP2006/324881、国際公開番号WO2007/69666、国際出願日2006年12月6日)に2件の米国仮出願の内容を追加して行った米国継続出願(出願番号12/213,035)から、さらに継続出願(出願番号12/457,356)を行いました。この継続出願(出願番号12/457,356)は、2008年9月に成立した日本特許第4183742号における審査結果を利用した特許審査ハイウェイを活用しております。今回、この特許出願に対して、米国特許商標庁(USPTO)において、2011年8月12日付けで特許査定が通知され、11月15日付で特許登録されました。
京都大学は、一日も早いiPS細胞の医療応用を実現することを目指して、これからもiPS細胞技術の普及や研究の推進に努めてまいります。
米国で成立した特許の概要
- 出願番号:12/457,356
- 特許番号:8,058,065
- 特許請求の範囲(概要):
体細胞にOct3/4, Klf4, Sox2及びc-Mycの4遺伝子をレトロウイルスベクターで導入してiPS細胞を作製する方法 - 特許の権利期間: 2006年12月6日から20年間
- 米国特許出願状況の説明図:
今回成立した特許の内容は、体細胞(例えば皮膚細胞)に、レトロウイルスベクターで4つの遺伝子を導入する工程によりiPS細胞を製造する方法に関するものであり、特許法の規定により、この方法で製造されたiPS細胞の使用(iPS細胞の販売やiPS細胞を用いた分化誘導)にもその権利が及びます。
このように、京都大学がiPS細胞の作製からその使用までをカバーする特許を米国でも確保したことにより、米国の企業研究者が安心してiPS細胞を用いた研究開発を進める環境作りに貢献できます。
山中伸弥教授のコメント
このたび、米国で2件目の特許が成立し、大変喜んでいます。このiPS細胞作製に関する特許が成立したことにより、病態解明や薬の探索研究が、より一層進展することが期待できます。今後も、一日も早いiPS細胞技術の実用化を目指して、研究と同時に知財取得に努めてまいります。