柴田ユニット長の挨拶
キャンパスプラザ京都において、「京大宇宙ユニット・JAXA宇宙科学研究所 共同研究ワークショップ ~京から始まる新しい宇宙学~」を開催しました。これは、2010年4月に宇宙総合学研究ユニット(宇宙ユニット)と宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究所(ISAS)が共同研究契約を締結し、宇宙ユニットに宇宙総合学ISAS連携研究部門を設置したことを記念するものです。この共同研究では、「宇宙環境の総合理解と人類の生存圏としての宇宙環境の利用に関する研究」を推進することを目的としています。
午前の部は、柴田一成 ユニット長による共同研究の経緯説明で始まりました。続いて、松本紘 総長は挨拶の中で、「(将来)宇宙を利用しないわけにはいかなくなる。そういった時代の期待に応えられる知識と技術を共に連携研究部門の中で進めて行くことを切に願っている。」と連携部門への期待を述べました。また、小野田淳次郎 ISAS所長も、宇宙に行く・宇宙を利用することを可能にする「宇宙科学」研究分野の推進を共に行う必要性や連携部門への期待を、挨拶の中でコメントされました。
その後、磯部洋明 特定講師から、共同研究の概要説明がありました。従来の理工学的な共同研究に加え、生命科学や人類が宇宙へ出て行く意義の人文社会科学的検討など、本学でしかできないような新しい研究分野の開拓を目指すことを表明しました。理工学的な具体的な研究計画の内容は、理学分野から浅井歩 特定助教が太陽物理学を基軸とした太陽地球環境の研究計画を、工学分野から坂東麻衣 特定助教が宇宙生存圏に向けた宇宙ミッションデザイン工学に関する研究の計画をそれぞれ示しました。
午後の部では、本学やISASの理学・工学の諸分野から、共同研究のさまざまな可能性について議論が交わされました。また、岡田浩樹 神戸大学国際文化研究科教授からは、文化人類学的立場から宇宙空間で人類が生活するようになった際の文化の形成について講演があり、まさに理学・工学にとどまらない「宇宙学」について議論する良い機会となりました。
本ワークショップの最後には、山川宏 副ユニット長による司会の下、パネルディスカッションの時間を設けました。数名のコメンテーターを中心に、本連携部門の方向性へのコメントやさまざまな期待が述べられました。参加者は本学やISAS関係者を中心に予想を上回る70名余を数え、共同研究に直接関わらない方や学部生・大学院学生の参加も多数あり、宇宙分野への関心を改めて感じる機会となりました。
![]() 松本総長の挨拶 | ![]() 磯部特定講師による共同研究の説明 |
![]() 小野田ISAS所長の質疑応答の様子 | ![]() 岡田教授の講演の様子 |