特発性大腿骨頭壊死症(病期がStage1および2)を対象にbFGF含有ゼラチンハイドロゲルを用いた臨床試験を開始

特発性大腿骨頭壊死症(病期がStage1および2)を対象にbFGF含有ゼラチンハイドロゲルを用いた臨床試験を開始

2013年2月28日

 医学部附属病院整形外科は、大腿骨頭壊死症家兎動物モデルにおいて、単回の塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)含有ゼラチンハイドロゲルの骨頭内埋入により、壊死部の骨再生をきたし、さらに骨頭圧潰を阻止することを明らかにしました。本結果等を基に、特発性大腿骨頭壊死症を対象に、bFGF含有ゼラチンハイドロゲルの骨頭内埋入の安全性を評価することを主な目的とする臨床試験を3月から開始します。

 特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭の一部の血の流れが悪くなることにより壊死に陥り、骨が潰れて、股関節の機能が著しく損なわれる原因不明の難病で、厚生労働省の難治性疾患に指定されています。

 本臨床試験は、医学部附属病院「医の倫理委員会」の承認を得て、整形外科が、薬剤部、探索医療センターを中心とした院内各部署の協力のもと、共同で実施します。10名の患者を対象とし、安全性と有効性を検証します。2013年3月1日より登録を開始し、追跡期間は1年間を予定しています。

 本臨床試験では、特発性大腿骨頭壊死症のうち、病期が骨頭圧潰前のStage1および2の患者を対象に、bFGF含有ゼラチンハイドロゲルを、レントゲン透視下に骨壊死部位に埋入します。bFGF含有ゼラチンハイドロゲルの骨頭内埋入は、低侵襲手術として、短時間で実施できます。

 現在、特発性大腿骨頭壊死症では壊死した骨の再生を促す有効な治療法はなく、bFGF含有ゼラチンハイドロゲルの単回埋入により、壊死部の骨再生が誘導され、さらに骨頭圧潰が抑制されれば、積極的低侵襲手術法として多くの患者に適応・実施されることが期待でき、医療的・社会的な意義は大きいと考えられています。


大腿骨の外側から直径5mm程度の穴をあけて、bFGFを含んだゼラチンハイドロゲルシートを骨頭の壊死した部分に注入します。

ゼラチンハイドロゲルシートに含まれたbFGFはゆっくりと放出されます。

研究メンバー

主任研究者

秋山治彦 医学研究科感覚運動系外科学整形外科准教授

副主任研究者

黒田隆 医学研究科感覚運動系外科学整形外科特定助教 


  • 京都新聞(3月1日 31面)に掲載されました。