用語解説
iPS細胞
人工多能性幹細胞(iPS細胞:induced pluripotent stem cell)のこと。皮膚細胞などの体細胞に特定因子を導入することにより樹立される。胚性幹細胞(ES細胞)のように無限に増え続ける能力と体のあらゆる組織細胞に分化する能力を有する多能性幹細胞である。
ES細胞(胚性幹細胞)
胚性幹細胞(ES細胞:embryonic stem cell)のこと。ES細胞は受精後6、7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養することによって作製される多能性幹細胞の一つで、あらゆる組織の細胞に分化することができる。しかし、受精卵を破壊する必要があり、患者自身の細胞から作製することが困難なため、免疫拒絶の問題が指摘されている。
前駆細胞
幹細胞から特定の機能をもつ細胞に分化する前の細胞のこと。
Flk1陽性/ CXCR4陽性/ VE-cadherin陰性の細胞群(FCV細胞)
Flk1とCXCR4という遺伝子の発現があり、かつ、VE-cadherin遺伝子の発現が見られない細胞群。遺 伝子発現の状態を指標にして細胞を選ぶ。FCV細胞は、心筋の前駆細胞として高い心筋分化能を示す。
サイクロスポリンA (Cyclosporin-A:CSA)
免疫抑制剤として良く知られる薬剤で、臓器移植の拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療にも用いられる。
OP9ストロマ細胞
OP9という骨髄に由来する間質細胞(ストロマ細胞)のこと。ES細胞やiPS細胞のような多能性幹細胞を様々な組織の細胞に分化する際、共培養して用いる。OP9ストロマ細胞はES細胞を血液系の細胞に分化させる作用をもつことが知られている。
カルシウムトランジェント
活動電位に従って細胞質内全体のカルシウムイオン濃度が上昇する動きのことで、心筋収縮に対応して変化する。カルシウムイオン濃度を測定することで、心筋収縮の状態を観察する。
胚様体
EB(embryoid body)とも言われ、ES細胞やiPS細胞などを浮遊培養するとボール状の細胞塊を形成する。この状態で2 週間程度培養すると、様々な細胞種への分化が観察される。細胞の分化多能性を調べる一般的な方法の一つとして用いられている。
サルコメア構造
骨格筋は筋繊維によって形成される。そして筋繊維は多数の筋原繊維が束になったものである。この筋原繊維はZ膜でしきられており、このZ膜に仕切られた単位をサルコメアと呼ぶ。
cTnT(心筋トロポニンT)
トロポニン(Troponin)は骨格筋や心筋の収縮に不可欠な3つの蛋白質(TnC, TnI, TnT)の複合体のこと。アクチンフィラメントの間の溝に沿って点在している。cTnTは、3つのサブユニットの一つ。
Connexin43
隣り合う細胞の細胞膜間で、水溶性の小さいイオンや分子を通過させる「ギャップ結合」を構成するタンパク質のひとつ。
イソプロテレノール
アドレナリン作動薬のひとつで、β受容体に作用して心筋刺激作用を引き起こす薬剤。心停止の際に静脈内注射薬として使用される。
プロプラノロール
β1受容体とβ2受容体を遮断し、アドレナリン作動性効果を遮断する薬剤。不整脈、高血圧、心筋梗塞、緑内障、偏頭痛の治療に使用される。
HERGチャンネル
阻害剤 HERG(human ether-a-go-go related gene:ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子)チャネルの働きを阻害する薬剤。このチャンネルがブロックされるとQT延長が起こり不整脈、心室細動が引き起こされ、最悪の場合心臓停止に至る。
Z帯構造
横紋筋の収縮単位のサルコメアを仕切る膜状の構造である。Z帯以外に、Z線、Z膜、Z板、などとも呼ばれる.
デスモソーム
上皮細胞によくみられる細胞間接着装置のこと。接着班とも呼ばれる。