神経抑制因子RestのマウスES細胞における役割解明 -ES細胞やiPS細胞の未分化性維持、初期分化のメカニズムの理解に進展-

神経抑制因子RestのマウスES細胞における役割解明 -ES細胞やiPS細胞の未分化性維持、初期分化のメカニズムの理解に進展-

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用語解説

ES細胞(胚性幹細胞)

胚性幹細胞(ES細胞:embryonic stem cell)のこと。ES細胞は受精後6、7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養することによって作製される多能性幹細胞の一つで、あらゆる組織の細胞に分化することができる。しかし、受精卵を破壊する必要があり、患者自身の細胞から作製することが困難なため、免疫拒絶の問題が指摘されている。

iPS細胞

人工多能性幹細胞(iPS細胞:induced pluripotent stem cell)のこと。体細胞に特定因子を導入することにより樹立される、ES細胞に類似した多能性幹細胞。

アルカリファスフォターゼ

pHがアルカリ性の時に機能する酵素の一つ。自然に広く存在し、分子生物学の実験で使われる。

対立遺伝子

遺伝子座(遺伝子の場所)にある一対、または二つ以上の遺伝子のこと。同一の対立遺伝子を持つ場合、ホモ接合体、それぞれ異なる対立遺伝子を持つ場合は、ヘテロ接合体という。

ノックアウトマウス

人為的に目的とする遺伝子の機能を破壊したマウス。遺伝子の生体内の機能を研究するモデル動物、ES細胞を利用して作製される。

Restホモ欠失ES細胞

正常では二つ存在するRest遺伝子の機能を二つとも人為的に破壊したES細胞。

三胚葉

受精後の胚からできる細胞の塊で、内胚葉、中胚葉、外胚葉に分けられる。内胚葉は、その後消化器官や呼吸器官を形成する。中胚葉は骨、心筋、赤血球などに分化する。外胚葉は、神経や感覚器官を形成する。

テラトーマ(奇形腫)

ES細胞やiPS細胞を免疫不全マウスに注射すると、腫瘍を形成する。この腫瘍はテラトーマと呼ばれ、様々な種類の組織が混在している。テラトーマを観察し、様々な組織に分化していることを確認することは、細胞の分化多能性を調べる一般的な方法の一つである

キメラマウス

二対以上の親に由来する二つ以上の胚またはその一部からできた個体をキメラという。本論文の場合、ES細胞を胚に移植して作製したマウスのことをキメラマウス言う。

コンフルエント

細胞が増殖して、培養皿の底一杯になった状態。

胚様体

EB(embryoid body)とも言われ、ES細胞やiPS細胞などを浮遊培養するとボール状の細胞塊を形成する。この状態で2週間程度培養すると、様々な細胞種への分化が観察される。細胞の分化多能性を調べる一般的な方法の一つである。

胚盤葉上層

受精卵が数回分裂すると、細胞の塊からなる胚盤胞が形成され、この中の内部細胞塊が増殖してできる細胞層の一部。これがさらに分化し、中胚葉をつくる。