ジャケット型結晶を着たナノ孔物質からなる「分子ふるい」を合成 - サイズの異なるガス分子の分離が可能に -

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用語解説

多孔性金属錯体

有機化合物が、金属イオンに配位結合した化合物を金属錯体という。金属イオンと多様な有機化合物との組み合わせは無数にあり、様々な構造を作ることが可能。このうち、多くの微細な孔を持った物質を多孔性金属錯体といい、空孔にさまざまな分子を吸着させることで機能的材料となる。

ジャケット型ナノ孔結晶

ナノ孔結晶の外側を別のナノ孔結晶がエピタキシャル成長した結果、まるで外側にジャケット(上着)をつけているように、あるいは、おおわれているようになっている結晶のことを指す。

大型放射光施設 SPring-8

独立行政法人理化学研究所が所有する、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す施設で、その管理運営はJASRI が行っている。SPring-8 の名前はSuper Photonring-8GeV に由来。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のこと。 SPring-8 では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。SPring-8 は日本の先端科学・技術を支える高度先端科学施設として、日本国内外の大学・研究所・企業から年間延べ1万4千人以上の研究者に利用されている。

エピタキシャル成長

下地結晶の上に膜結晶を成長させる場合、下地結晶の表面内原子配列を反映し連続して膜結晶が成長することを指す。

活性炭やゼオライト

活性炭は吸着性の強い炭素からできている物質。吸着材として防毒マスク、ガスまたは液体の精製、溶液の脱色、触媒、脱臭剤などに使われている。ゼオライトはイオン交換性を持つ合成ケイ酸塩で、触媒、脱臭剤などに使われている。

表面X線回折測定

結晶表面、あるいは結晶の表面近傍層の原子配列構造を決定、あるいは評価するため、結晶表面、あるいは結晶の表面近傍層からの回折強度を測定する方法である。その強度は結晶内部(バルク)からの回折散乱強度に比べて、約10-8と桁外れに弱いため、測定には、通常、SPring-8 のような高輝度放射光を必要とする。また、結晶内部からの散乱がバックグランドとなるため、そのバックグランド強度をできる限り排除するため、入射X線と試料表面のなす角度を所望の角度になるよう正確に制御するなど、工夫を凝らした測定配置を用いる。

エピタキシー関係性

2個の結晶物質が接する界面内において、下地の結晶から原子の並びが上の結晶に連続的に繋がっている関係を指す。例えば、基板結晶にわずかに長い格子をもつ結晶を成長させる場合、基板の格子に合わせるように格子の長さを本来の物質のそれよりも小さく歪ませて成長している場合、エピタキシー関係があると表現する。