私が聴講した講義 'Introduction to Japanese Civilization'は「日本の文明」というその名の通り、日本の歴史から芸術・文化、現代の日本社会に至るまで幅広い分野をカバーする内容となっていた。日本史や日本文化についてあまり詳しく知らない学生だけでなく、日本史を一通り勉強したことのある学生でも十分楽しめる内容であったと考える。日本人である私も本講義を通して新しい発見が多々あった。
その理由は第1に、授業で様々な分野・形式の資料が使われていたことが挙げられる。講義はパワーポイントを使用して進められる形が主だったが、途中で関連文献を読んだり、あるテーマについてディスカッションをしたり、映像資料を見たりと授業中でも多くのものに触れる機会が設けられていた。また扱う資料の内容面でも、「古事記」のような文章を読むこともあれば近年公開された話題の映画を見ることもあるなど、非常に多岐にわたっていた。これらのことから、この講義を通じて受講生は日本を多角的に捉えることが出来たのではないかと考える。
第2に、教授が自分の考えや一般的な見解を提示するのではなく、生徒自身が考えることを促すようなスタイルをとっていた点が評価に値すると考える。日本の大学では大講義室で教授が一方的に定説および自身の見解を述べるという形を取る授業が多い。それに対し本講義では教授が問題提起をする場面が非常に多かった。それも、普段はあまり突き詰めて考えることのないようなベーシックな事柄について考えさせられたことが印象にのこっている。例えば、最初の授業で「そもそも何故人は歴史を学ぶのか」「古いものにはどのような価値があるのか」という問いを教授が投げかけ、生徒がそれぞれの見解を述べていった。このように教授が一方的に教えるのではなく生徒自身に考えさせることで、歴史を暗記するのとは違う学習効果が得られるのではないかと考える。
以上の点から、本講義の聴講は様々な発見のある非常に貴重な体験となった。宿題の分量については少ないとはいえないが、内容が興味深いものが多かったのでそこまで負担に感じることはなかった。
KCJS学生は皆日本に興味をもって来ている人たちだったので、彼らがどう日本を見ているのか、何が彼らを惹きつけたのかなどを知る良い機会となった。同じ授業を受講していた何人かとはクラス外でも交流があった。
KCJS講義の聴講を通じて多くを学び、得ることができたので、全体的には非常に満足しており、このような機会を頂き感謝している。(法B4)
聴講講義: Introduction to Japanese Civilization