30号(2016年9月)
表紙
スウェーデンのキルナで撮影されたオーロラ
宇宙から降り注ぐ電子と超高層大気が衝突しておこる発光現象。緑、紫、赤などの色は電子のエネルギーや超高層大気の組成によって決まる。カーテン状、斑点状など形や動きにも多様性がある。日本で見ることができるオーロラは赤が圧倒的に多い。日本や中国の古文献には「赤気」という名で登場し、古往今来、関心が寄せられていたことがわかる。(撮影:海老原祐輔准教授〈生存圏研究所、2000年ころ〉)
29号(2016年3月)
表紙
ミスミソウ
北半球の温帯に自生し、日本では本州の東北地方以西に生育する。日本海側の東北地方から北陸地方にかけては、一つの集団内にわずか数十センチの間隔でさまざまな花色の個体が混ざる。蜜を出さないミスミソウは、蜜のない花を学習するハチには来てもらえない。個体ごとに花の色を変えて、「別の花だ」と認識させ、ハチを誘っているらしい。このようなだまし効果をもつ花は「フェイクフラワー」ともいわれる。
28号(2015年9月)
表紙
東アジア人文情報学研究センター
1930年に竣工。設計者は武田五一と東畑謙三。濱田耕作文学部教授(のちの京大総長)発案のスペイン僧院を模したロマネスク風のデザイン。柱部分の虫食い状の小穴を有する灰色の石材は、武田により発見された沖縄産石材「宇留間石(琉球トラバーチン)」。館内のいたるところに武田の指示で東畑が作成したこだわりのゴシック・デザインのブロンズ装飾が配されている。建物内部は非公開
27号(2015年3月)
表紙
吉田北部構内
理学部6号館の中庭
夏休みのキャンパスは人影もまばら。町家の格子を連想させる壁面と、シンメトリーに配置されたハナミズキとベンチ。鳴りやまぬ蝉時雨のなか、太陽が容赦なく照りつけるベンチを休憩場所に選ぶ学生はさすがにいない。まだ若いハナミズキは、学生たちで賑わう季節を楽しみにしている。
26号(2014年9月)
表紙
旧演習林事務室
吉田キャンパスの北部構内の一角にあるこの建物は、京大の営繕課技師だった大倉三郎の設計で、1931(昭和6)年に竣工。外周や中庭に面して配されたベランダの天井の意匠などにモダニズムの清新さがあらわれている。緑あふれる北部構内の農村的景観形成にも大きく寄与している。本号の巻頭座談会はこの建物のラウンジで実施した。(登録有形文化財)
25号(2014年3月)
表紙
東アジア人文情報学研究センター
北部構内の東、閑静な住宅街にあるこの白亜の建物は、京都大学の中国学研究のシンボル的存在。書庫には30万冊を超える漢籍を収蔵。東方文化学院京都研究所(現在の当方学研究部の前身)の研究施設として1930年11月に竣工。スペイン僧院を模したロマネスク風のデザインは、濱田耕作文学部教授(後の京大総長)の発案。設計者は武田五一と東畑謙三。2000年10月に文化庁「登録有形文化財」に指定
24号(2013年9月)
表紙
理学研究科附属花山天文台
銀色のドームを頂く本館(京都市山科区)は天文台の象徴。建築科の故大倉三郎氏(元京都工芸繊維大学学長)が京都帝国大学営繕課に勤務していた1927(昭和2)年に設計したもの。ドーム内には屈折望遠鏡としては国内3位の口径を誇る45㎝屈折望遠鏡を設置(飛騨天文台の65㎝屈折望遠鏡は国立天文台とならんで1位)。本館の図書室は、一般市民向けの講演会場として開放することもしばしば。初代天文台長山本一清はここを拠点に、天文好きの市民を集めて天文学の普及に励んだ。
23号(2013年3月)
表紙
文学部陳列館
歴史学、考古学、地理学、古美術関係など、文学部の収集した貴重な資料を収蔵することを目的に1914(大正3)年に完成。比類のない貴重なコレクションをもとに、国内・外の注目を集める学術活動が進められ、現在の総合博物館建設の礎を築いた。レンガ造り2階建で、出入口のペディメントや楕円形の小窓などの 意匠が特徴的。京都帝国大学営繕課の山本治兵衛と永瀬狂三の設計。国登録有形文化財建造物
22号(2012年9月)
表紙
楽友会館
1925年に京都帝国大学創立25周年を記念して建設。設計は、当時、京都大学工学部建築科助教授だった森田慶一氏。東京高等工藝学校(現在の千葉大学工学部)教授の森谷延雄氏による内装は大正建築の特徴をよく伝えている。2010年9月に改装を終え、当時の趣きを残して会議室や喫茶食堂を備えた会館として再生。京都大学の教職員の学術交流の場として活用している。国指定登録有形文化財
21号(2012年3月)
表紙
清風荘
公私にわたって京都大学の創設を支援した公爵・西園寺公望が京都別邸として利用した清風荘は、1944年に住友家から京都大学に寄贈。作庭家、七代目小川治兵衛(通称・植治)が3年がかりで完成させた明るく開放的な庭が特徴。江戸時代末期に建てられた茶室、大正建築の主屋と離れは国の登録有形文化財。吉田 キャンパスに近接し、おもに国内・外の賓客の接待などに利用している。一般には非公開。