平成25年10月
国立大学法人京都大学
国立大学法人は、国民の皆様に対し財政状態および運営状況についての説明責任を果たすとともに、自らの状況を客観的に把握する観点から、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、利益の処分(損失の処理)に関する書類、キャッシュ・フロー計算書、国立大学法人等業務実施コスト計算書およびこれらの附属明細書等)の作成および公表が義務付けられています。
今般、平成25年9月24日付けで本学の平成24事業年度財務諸表が文部科学大臣の承認を受けましたので、ここに開示しますとともに、決算の概要を説明します。
平成24事業年度決算の概要
全体の概要
平成24事業年度決算の概要として、国立大学法人の基盤的財源である運営費交付金は、平成23年度から導入された大学改革促進係数による減額が引き続き実施されたほか、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」に基づく国家公務員の給与削減相当額の減額が行われました。このような厳しい財政状況下において、受託研究等の外部資金の積極的な獲得や、診療体制の整備などによって病院収入の増加を図ることにより財源を確保することはもちろんのこと、学内予算配分の抜本的見直しを行うなどの財務体質の強化・改善のための取り組みによって財政基盤を安定させることで、教育・研究・医療の質の維持・向上に努めつつ、さまざまな事業を実施しました。
平成24事業年度における主な取り組みとしては、教育面では、新大学院「総合生存学館(思修館)」の設置準備や、北部グラウンドの人工芝化などの課外活動および福利厚生施設の整備を行いました。また、研究面では、次世代を担う若手教員の国際的な研究活動を強化・促進することを目的として、京都大学若手研究者海外派遣事業「ジョン万プログラム」を開始しました。さらに、桂キャンパス総合研究棟 III (物理系)やメディカルイノベーションセンター棟の新営などの教育研究環境の整備も行いました。
これらの結果、事業規模は、経常収益が約1,467億円で前事業年度と比べ約18億円の増加、経常費用が約1,445億円で前事業年度と比べ約14億円の増加となっています。
貸借対照表の概要
(資産の部)
資産の合計は、4,965億円で前事業年度より452億円増加しております。主な増加の要因としては、施設整備事業として行った桂キャンパス総合研究棟 III (物理系)やメディカルイノベーションセンター棟の新営による建物等の増加と、平成24年度補正予算による産学共同の研究開発による実用化促進(大学に対する出資事業)のための資金交付により現金および預金が増加したことによるものです。
(負債の部)
負債の合計は 約1,770億円で、前年度より143億円増加しております。主な増加の要因としては、「その他」に計上しております、平成24年度補正予算による産学共同の研究開発による実用化促進(大学に対する出資事業)のための運営費交付金債務の増加と、農学研究科附属農場(大阪府高槻市)の売却にかかる前受金の増加等によるものです。
(純資産の部)
純資産の合計は 約3,195億円で前年度より309億円増加しております。主な増加の要因としては、平成24年度補正予算による産学共同の研究開発による実用化促進(大学に対する出資事業)のための資金交付により資本金が増加したことによるものです。
当期未処分利益は、附属病院に関する借入金の償還期間と借入金により取得した資産の減価償却期間のずれ等から生じる将来に発生する損失を補填する額約16億円と、効率的な事業の実施による経費削減等の本学の運営努力により生じた額約0.6億円からなります。これらは、別途、文部科学大臣の承認を受けた後、本学の運営努力から生じた額については、第2期中期計画に沿って、教育研究診療等の質の向上のために活用していきます。
損益計算書の概要
(費用)
費用の合計は、約1,455億円で、前年度より22億円増加しております。主な増加の要因としては、補助金の増加や施設の整備による教育研究診療等経費の増加によるものです。
(収益)
収益の合計は、約1,472億円で、前年度より22億円増加しています。主な増加の要因としては、研究拠点形成費等補助金をはじめとする国からの補助金等の積極的な獲得に努めたことに伴う補助金等収益化額の増加や、診療体制の整備などを行った成果によって生じた附属病院収益の増加によるものです。
平成24事業年度の決算の概要は以上のとおりです。詳細につきましては、開示いたしました財務諸表等、および各ステークホルダーの皆様に向け財務に関する運営状況を取りまとめたファイナンシャルレポート2013をご覧いただきたく存じます。