平成23年10月
国立大学法人京都大学
国立大学法人は、国民の皆様に対し財政状態および運営状況についての説明責任を果たすとともに、自らの状況を客観的に把握する観点から、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、利益の処分(損失の処理)に関する書類、キャッシュ・フロー計算書、国立大学法人等業務実施コスト計算書およびこれらの附属明細書等)の作成および公表が義務付けられています。
今般、10月14日付けで本学の平成22事業年度財務諸表が文部科学大臣の承認を受けましたので、ここに開示しますとともに、決算の概要を説明いたします。
平成22事業年度決算の概要
全体の概要
第2期中期目標期間の最初の事業年度である平成22事業年度は、臨時的減額により運営費交付金が第1期中期目標期間から引き続き減少しているものの、受託事業等の外部資金の積極的な獲得や、新病棟の稼働開始に伴う病床稼働増による病院収入の増加などにより財源を確保し、あわせて前中期目標期間繰越積立金なども活用することにより、財政基盤を安定させて、教育・研究・診療の質の維持・向上に努めております。 また、「京都大学第二期重点事業実施計画」を策定し、中・長期的および全学的な視点から大学を運営するための戦略的・重点的な事業を推進しております。
平成22事業年度における主な取り組みとしては、大学の国際化の推進を図るために、グローバル30に基づき外国人留学生増加に向けた取り組みであるK.U.PROFILEの実施や、国際拠点としてベトナム国家大学ハノイ校との共同オフィスの開設などを実施しました。また、教育研究環境を充実するために、全学共用スペースとして北部総合教育研究棟を完成させ、本学のシンボルである百周年時計台記念館とクスノキの周辺整備事業を実施しました。さらに、新たな施設として、低炭素社会構築に向けた研究基盤ネットワーク整備事業において微細加工・試作を担う「次世代低炭素ナノデバイス創製ハブ拠点」や、環境・エネルギー分野における世界トップレベルの産官学連携共同研究を推進するための「宇治地区先端イノベーション拠点施設」、複数の診療科の専門医が協力する集学的ながん治療の拠点として「積貞棟」(寄附事業)を整備しました。
これらの結果、事業規模は、経常収益が約1,391億円で前事業年度と比べ約27億円減少、経常費用が約1,378億円で前事業年度と比べ約30億円増加となっております。
貸借対照表の概要
(資産の部)
資産の合計は、4,561億円で前事業年度より39億円減少しております。主な減少の要因は、第1期中期目標期間に精算した積立金の国庫納付により「現金及び預金」が減少したことによるものです。なお、「現金及び預金」が前事業年度より大きく減少しておりますが、第1期中期目標期間に精算した積立金の国庫納付および工事費や物件費の支払いに充てたほか、譲渡性預金(有価証券)による資金運用を行ったため、「現金及び預金」が減少し、「投資有価証券」、「長期性預金」、「有価証券」が増加しているものです。
(負債の部)
負債の合計は 約1,644億円で、前年度より17億円減少しております。主な減少の要因は、工事費や物件費等の年度末における未払分(未払金)の減少、附属病院に係る設備整備等のための国および国立大学財務・経営センターからの借入金の減少等によるものです。
(純資産の部)
純資産の合計は 約2,917億円で前年度より22億円減少しています。主な減少の要因は、第1期中期目標期間に精算した積立金の国庫納付によるものです。
損益計算書の概要
(費用)
費用の合計は、約1,383億円で、前年度より34億円増加しています。主な増加の要因は、次世代低炭素ナノデバイス創製ハブ拠点の開設などにより教育研究診療等経費が増加していることによるものです。
(収益)
収益の合計は、約1,392億円で、前年度より83億円減少しています。主な減少の要因は、運営費交付金収益の減少、第1期中期目標期間に精算した積立金の国庫納付に伴う臨時利益の減少によるものです。
(当期総利益)
収益から費用を差し引いた約9億円を当期総利益として計上しております。この当期総利益は、附属病院に関する借入金の償還期間と借入金により取得した資産の減価償却期間のずれ等から生じた資金の裏付けのない帳簿上の利益約7.7億円、効率的な事業の実施による経費削減等の本学の運営努力により生じた資金の裏付けのある利益約1.6億円からなります。本学の運営努力から生じた利益については、別途、文部科学大臣の承認を受けた後、第2期中期計画に沿って、教育研究診療等の質の向上のために活用していきます。
平成22事業年度の決算の概要は以上のとおりです。詳細につきましては、開示いたしました財務諸表等、および各ステークホルダーの皆様に向け財務に関する運営状況を取りまとめたファイナンシャルレポート2011をご覧いただきたく存じます。