京都大学春秋講義

京都大学春秋講義

 春秋講義は、京都大学における学術研究活動の中で培われてきた知的財産について、広く学内外の人々と共有を図るため、1988(昭和63)年秋から月曜日と水曜日に開講しています。月曜講義はメインテーマをもうけ、水曜講義は講師それぞれが、時宜を得たテーマについて講義を行います。

平成22年度 春季講義

月曜講義 (吉田キャンパス)

メインテーマ: 「アジアの中の日本」
講義時間: 各日 18時30分~20時00分 (開場18時00分)
定員: 500名
会場: 京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
(京都市左京区吉田本町)
4月12日(月曜日)

小倉紀蔵 准教授(人間・環境学研究科)

  東アジアの文化・文明論的関係性の転換

4月19日(月曜日)

水野広祐 教授(東南アジア研究所)

  東南アジアはなぜ発展するのか-「東南アジア共生社会発展モデル」と日本のつきあい方

4月26日(月曜日)

劉徳強 教授(経済学研究科)

  アジア回帰の日本と世界進出の中国

※ 東京オフィスにおいて月曜講義を同時中継(要申込)いたします。詳細は以下のページをご参照ください。
平成22年度春秋講義(春季)の東京オフィス同時中継のご案内

水曜講義 (桂キャンパス)

講義時間: 各日 18時30分~20時00分 (開場18時00分)
定員: 500名
会場: 京都大学桂キャンパス 船井哲良記念講堂
(京都市西京区京都大学桂)
5月12日(水曜日)

伊藤之雄 教授(法学研究科)

  近代日本を創った男・伊藤博文-真の改革とは何か

5月19日(水曜日)

上原真人 教授(文学研究科)

  神雄寺の仏教儀礼-木津川市馬場南遺跡の発掘成果から 

5月26日(水曜日)

中原俊隆 教授(医学研究科)

  保健医療-世界の動向・日本の動向


月曜講義と水曜講義の会場が異なります。お間違えないようにご注意ください。

共通要項

受講料: 無料
申込み: 不要 (各講義とも先着順)
問い合わせ先: 京都大学企画部社会連携推進課
電話 : 075-753-2233
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
E-mail : kinen52*mail.adm.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)
主催: 京都大学
後援: 財団法人京都大学教育研究振興財団/京都府/京都市

 

講義の概要

月曜講義 (京都大学吉田キャンパス)

4月12日(月曜日)
「東アジアの文化・文明論的関係性の転換」 小倉紀蔵 准教授 (人間・環境学研究科)

 東アジア(ここでは日本・韓国・中国)の文化・文明的関係について大きな絵を描いてみる。つまり、東アジア版「文明の生態史観」(梅棹忠夫)の試みである。東アジアの関係において重要なのは、「文化の問題」という言葉が実際には「文明の問題」として認識されてしまっていることに気づくことである。文化と文明を明確に定義し直すことによって、東アジアのさまざまな問題を解くことができると考えている。
 

4月19日(月曜日)
「東南アジアはなぜ発展するのか-「東南アジア共生社会発展モデル」と日本のつきあい方」 水野広祐 教授 (東南アジア研究所)

 東南アジアは、多様な宗教・民族・文明を持ち、紛争の種を多く抱えながら実際にはこれらの多様性が交響する場となり、今日、ヒト・モノ・カネ・情報が自由に出入りする成長センターである。このような東南アジアについて、その発展の後を、特に1997年のアジア通貨危機と今日の世界金融危機を契機とする変化を追うことで描き、東南アジアはなぜ発展するのかを明らかにする。そして、どのように日本が共に発展できるのかを考える。
 

4月26日(月曜日)
「アジア回帰の日本と世界進出の中国」  劉徳強 教授 (経済学研究科)

 日本は脱亜入欧を唱えてから百年以上経った今日、アジア重視の姿勢を示すようになった。一方、中国は30年間の改革開放政策の成果を踏まえて、世界進出を急展開することになった。こうした状況の中で、日中両国はどのような関係を構築し、どのように付き合っていくべきだろうか。この講義では、中国人の視点からアジアにおける日本のあり方、とりわけ日中関係を中心に議論していきたいと考えている。

水曜講義(京都大学桂キャンパス)

5月12日(水曜日)
「近代日本を創った男・伊藤博文-真の改革とは何か」 伊藤之雄 教授 (法学研究科)

 長州の伊藤博文は、憲法制定の中心となった明治維新のリーダーである。幕末に英国に密航し、坂本龍馬と同じく藩を超越する思想を持った。伊藤は誰よりも西欧文明の深みとそれを日本に根付かせることの困難さを知っていたが故に、漸進的に立憲政治を定着させる道を選ぶ。西欧のリアリズム外交を理解すると共に、それを乗り越えようともした。日本の改革が求められている現在、改革のリーダーはどうあるべきかを、伊藤を通して考える。
 

5月19日(水曜日)
「神雄寺の仏教儀礼-木津川市馬場南遺跡の発掘成果から」 上原真人 教授 (文学研究科) 

 近年、万葉木簡などが注目を集めた京都府木津川市馬場南遺跡は、出土した墨書土器により、文献資料には名を残さなかった奈良時代(8世紀)の山林寺院、神雄寺(神尾寺)跡と判明した。1万点近くに及ぶ灯明皿や三彩釉を施した山水陶器は、神雄寺で行なった仏教儀礼を反映している。とくに、山水陶器は平安時代の宮中灌仏会の原形となる釈迦降誕祭(仏生会、花祭)の調度具であったと考えられる。
 

5月26日(水曜日)
「保健医療-世界の動向・日本の動向」 中原俊隆 教授 (医学研究科)

 健康に関する政策を考える時、「ヘルスプロモーション」は世界的には最も重要なキーワードであるが、我が国では医療崩壊・医療費の増加抑制・特定健診などに押されて注目度が低く、また健康づくりや健康増進という言葉は、我が国独自の概念と言っても過言ではない。世界的な動向とはかなり違う我が国は、しかし世界最高の保健医療水準にある。このような我が国の特徴を踏まえて、保健医療の今までとこれからの動向について考える。