会場となったバンクーバー国際会議場(西館)
物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)など世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)全6拠点および文部科学省は、2月16日から5日間にわたってカナダ・バンクーバーで開催されたアメリカ科学振興協会(AAAS)年次大会に合同でブースを出展しました。この展示は、iCeMSが幹事、大阪大学IFReCが副幹事機関として企画・実施したものです。
展示期間は17日からの3日間で、約2,700人がWPIブースを含む日本パビリオン(科学技術振興機構(JST)主催)を訪れました。大会全体では、例年を大きく上回る11,000人以上が来場しました。うち約6,000人が家族向けイベント「ファミリー・サイエンス・デー」参加者、約700人がメディア・広報関係者でした。
WPIブースでは、プログラムと各拠点を紹介するビデオやポスターのほか、被引用数において世界の上位1%に入る論文をWPIがどれだけ生み出しているかを示すポスターが掲示されました。文部科学省と各拠点の担当者がWPIトートバッグやWPIカードを配りながら説明し、教育・研究機関の教職員、学生、政府関係者、家族連れなど多様な層の来場者と対話しました。
「日本の大学について知りたい」と聞きに来る理系志望の高校生や、「日本で研究する場合、日本語はどの程度必要か」と相談に来る大学院生など、日本の科学・技術に期待や関心を持ってブースを訪れる人の姿も多く見られました。WPIは英語が公用語であることについて、「研究をする上では不自由せずに済みそう。日常生活がどうなるか興味深い」といった声も聞かれました。
個別取材に応じたジンジャー・ピンホルスター AAASパブリック・プログラム・ディレクターは、日本からの参加について「非常に歓迎している。約60か国からの参加があるこの国際会議で、今年は日本の存在感も大きかった。来年以降も、日本の積極的な参加を期待している。(AAASの発行する)サイエンス誌に載る年間約900の論文の大半は国際共著で、うち約45%の筆頭著者はアメリカ国外の研究者。世界の様々な課題に立ち向かうには、世界の頭脳を結集し、協調する事が欠かせない」とコメントしています。
次回のAAAS年次大会は、2013年2月14日から5日間、米マサチューセッツ州ボストンで開催されます。
世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)について
WPIは、2007年度から文部科学省の事業として開始されたもので、システム改革の導入等の自主的な取組を促す支援により、第一線の研究者が是非そこで研究したいと世界から多数集まってくるような、優れた研究環境ときわめて高い研究水準を誇る「目に見える研究拠点」の形成を目指しています。
WPI全6拠点
- 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)
- 物質・材料研究機構(NIMS)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)
- 東京大学 国際高等研究所(TODIAS)数物連携宇宙研究機構(IPMU)
- 京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)
- 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター(IFReC)
- 九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)
ホームページ
URL: http://www.jsps.go.jp/j-toplevel/
アメリカ科学振興協会(AAAS)について
AAASは世界最大の総合学術団体で、科学誌「サイエンス」を発行し、科学の発展と社会還元を目的としています。1848年から続いている年次大会には例年約50ヵ国から8,000人ほどが来場し、そのうち約4割が研究者です。他にも家族連れや中高生、政府関係者、メディアといった多様な層が参加します。
第1回AAAS年次大会は、1848年に米ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われました。これまでにラリー・ペイジ米グーグル最高経営責任者 (2007年)、フランシス・コリン米国立衛生研究所長(2001年)、ビル・クリントン元米大統領(1998年)、ビル・ゲイツ米マイクロソフト会長 (1997年)など、産官学の著名な人物を講演者として招き、今年で178回目の開催となりました。
ホームページ
URL: http://www.aaas.org/
関連リンク
- AAAS年次大会全体の様子や、WPIブース出展内容など詳細は以下のiCeMSウェブページをご覧ください。
http://www.icems.kyoto-u.ac.jp/j/pr/2012/02/23-tp.html
日本パビリオンWPIブース | |
WPIブースで来場者と対話する葉草歩氏(京都大学iCeMS:左) | 展示ホール:各国の政府機関、大学、学会などのほか、企業もブースを出展 |
文部科学省と各WPI拠点のブース担当者:左から、飯島由多加氏(京都大学 iCeMS)、松浦雅子氏(九州大学 I2CNER)、坂野上淳氏(大阪大学 IFReC)、藍谷早苗氏(九州大学 I2CNER)とWPIバッグ、大林由尚氏(東京大学 IPMU)上田光幸氏(文部科学省)、池田進氏(東北大学 AIMR)、武田浩太郎氏(NIMS MANA)、阿部和雄氏(東京大学 IPMU) |