圧電体内での分極回転の観察に成功 -巨大圧電メカニズムの解明、非鉛材料の開発に道-
用語解説
圧電体
応力をかけると表面に電荷が現れ、電界を印加すると、変形する物質。電気分極を持っているためにこうした性質が表れる。
電気分極
物質中で陽イオンと負イオンの重心がずれていることから生じる、電荷の偏り。
アクチュエーター
伸縮・屈伸・旋回といった、単純な運動をする駆動装置。
正方晶ペロブスカイト
ペロブスカイトは一般式ABO3で表される元素組成を持つ、金属酸化物の代表的な結晶構造。結晶構造中の原子の繰り返し周期である単位格子が、立方体ではなく、一方向に伸びた直方体である物を正方晶と呼ぶ。
菱面体晶ペロブスカイト
単位格子が立方体ではなく、頂点方向に伸びたペロブスカイト。
単斜晶相
単位格子の持つ三つの角のうち、一つが90度からずれた結晶相。
電子線回折
電子顕微鏡の中で試料に電子線を照射し、回折パターンを調べることで、対称性や格子定数(単位格子の長さ)を決定する。
大型放射光施設SPring-8
兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す施設。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、指向性の高い強力な電磁波のこと。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。
放射光X線回折実験
物質の構造を調べる方法。放射光X線を試料に照射し、回折強度を調べることで結晶構造(原子の並び方や原子間の距離)を決定する。原子の座標から分極の大きさと方向を計算することができる。