炭素材料にホウ素を組み込む新手法に成功-革新的な有機エレクトロニクス材料の開発に向けて躍進-

炭素材料にホウ素を組み込む新手法に成功-革新的な有機エレクトロニクス材料の開発に向けて躍進-

前のページに戻る

用語解説と補足説明

有機エレクトロニクス

シリコンなどの無機材料に代わり炭素をベースとする有機材料を用いて「軽くて曲がる」という物理的な特徴に加え、印刷プロセスで安価に大量生産が可能なデバイス。有機電界効果型トランジスター・有機電界発光素子・有機薄膜太陽電池・色素増感型太陽電池など。

ホウ素

13族元素であるホウ素は周期表では炭素の左隣に位置し、炭素に比べて電子が一つ少ない。化学においてホウ素は、これまで反応位置の目印として反応化学に用いられてきた。特にホウ素は、三配位構造の3価の状態で空のp軌道を持つことが特徴である。(図6)

電子輸送性有機材料

負電荷を流す半導体有機材料。有機電界効果型トランジスター、有機ELディスプレイなどでは、フラーレン誘導体の他、さまざまな炭素材料も用いられているが、優れた電子輸送特性を持つものは限られている。

有機薄膜太陽電池

有機材料で作られた太陽電池。従来のシリコン太陽電池に比べ材料や製造コストが安くさらに曲げることが可能なフレキシブルなものも作れ、次世代型太陽電池として注目が高い。有機材料としては主に正孔輸送性材料と電子輸送性材料を混ぜたブレンド層が用いられる。

フラーレン

炭素がサッカーボールのように結合した分子

誘導体

化合物の一部を他の原子や原子団で置換したものを元の化合物の誘導体という。主に置換体に用いられるが、フラーレンの場合は水素がないため付加体を指す場合が多い。有機薄膜太陽電池の電子輸送性材料に用いられているフラーレン誘導体としては、PCBMの他、ICBAやSIMEFと呼ばれるフラーレンの付加体にほぼ限られている。

ドーピング

半導体シリコンなど無機材料で一般に用いられている技術で、多くの場合ドーパントと呼ばれる微量の添加物を混ぜて電子や正孔のキャリア密度を上げている。用いるドーパント(元素)の特性により、p型n型といった望みの半導体特性を制御することができる。

アリール基

ベンゼンなど芳香族炭化水素の環に結合する水素が1個脱離して生じる基の一般名

ホスト-ゲスト科学

酵素のように特定の分子を選択的に認識し捕捉できる空間を持つ分子をホスト分子、そこに受け入れられる分子をゲスト分子といい、これらの相互作用の研究や分子認識能に関する科学