用語解説
分子イメージング
生体内で起こるさまざまな生命現象を外部から分子レベルで捉えて画像化する技術及びそれを開発する研究分野であり、生命の統合的理解を深める新しいライフサイエンス研究分野。体の中の現象を、分子レベルで、しかも対象に大きな負担をかけることなく調べることができる。がん細胞のふるまいの調査だけではなく、アルツハイマー病や統合失調症、うつ病といった脳の病気、「こころの病」を解明し、治療法を確立するための手段として期待されている。
PET
ポジトロン断層撮像法(positron emission tomography;PET)のこと。画像診断装置の一種で陽電子を検出することによって様々な病態や生体内物質の挙動をコンピューター処理によって画像化する技術である。
ノルアドレナリン
中枢神経系に存在する神経伝達物質であり、脳幹の青斑核から投射され、脳内に広く分布している。覚醒、集中、意欲、記憶などの働きがあり、ストレスを受けたときにも放出される。
ノルアドレナリントランスポーター(NAT)
神経終末などに存在し、神経終末から放出されたノルアドレナリンを放出された近傍ですばやく再取り込みして、その活性を終了させる役割を担う。
視床
大脳の中心部にあって、間脳に属する神経細胞群。視覚、聴覚、体性感覚などの感覚入力を大脳皮質へ中継する重要な役割を担う。意識、情動、記憶、注意など様々な機能に関わる。
行動経済学
伝統的な経済学では、計算式や理論に基づき人間は合理的に振る舞うというのを前提としていたが、観察や実験を通して血の通った人々の行動や心理状態を重視して、人間の心理バイアスや認知が私たちの経済行動にどのような影響を与える研究する分野。ダニエル・カーネマン、バーノン・スミスはこの分野への功績で2002年ノーベル経済学賞を受賞した。
損失忌避
利益と損失の双方の可能性がある意思決定に際して、より損失に比重を置いて意思決定をする傾向。つまり同額の利益を得ることより、同額の損失を回避する心理傾向が強いことを指す。
神経経済学
行動経済学に端を派し、心理学、認知科学、経済学に脳神経科学が融合し、人間の行動選択、意思決定、消費行動を脳神経科学の観点から理解しようとする学際的分野で近年、急速に興隆している。
(S,S)-[18F]FMeNER-D2
ノルアドレナリントランスポーターに対して高い親和性と選択性を有するレボキセチンという薬剤を放射性同位元素のフッ素-18で標識したもの。