マウス精子幹細胞移植における細胞生着メカニズムを解明-効率的な細胞移植技術につながる可能性
用語解説
精子幹細胞
精子形成のもとになる細胞。精巣にあり、生涯にわたって精子を生み出し続けることができる。「幹細胞」は、 臓器や組織を構成する種々の細胞のもとになっている細胞で、臓器や組織の機能を担う成熟した細胞に分化する能力(分化能)と、分化能を維持したまま増殖する能力(自己複製能)を併せ持つ。
ニッシェ
幹細胞について用いる場合、幹細胞が生着し、分化と自己複製をすることができる特別な領域(場)のことをいい、各臓器などに存在している。周囲は幹細胞の自己複製と分化を制御する支持細胞で構成されていて、そこから幹細胞の自己複製因子が供給されていると考えられている。
血液精巣関門
精巣において、減数分裂を開始した細胞と、精子幹細胞を含むその他の細胞を隔てる障壁の役割を果たしている。セルトリ細胞が形成する密着結合帯で構成される。
ES細胞(Embryonic Stem cell:胚性幹細胞)
iPS細胞(induced Pluripotent Stem cell)と同様に、体の種々の細胞に分化する能力を持つ細胞で、この能力から再生医療への応用が期待されている。
分化多能性
ES細胞やiPS細胞に特徴的な、体の種々の細胞に分化する能力。精子幹細胞もまれにこの能力を獲得し、多能性精子幹細胞(mGS細胞)となる。
セルトリ細胞
精巣の中にある細胞の一種。精子幹細胞が分化して精子になるまでの各段階の細胞が生存・成長できるように支持する細胞。
密着結合
タイトジャンクションとも呼ばれ、上皮細胞の細胞間接着の様式の一つで、その名の通り細胞同士が密着し、細胞同士の隙間を物質が自由に通り抜けられないようにシールする役割を持つ。皮膚や腸管などでは、体の外と中を分け隔てる必要があり、これらの組織で非常に発達している。精巣ではセルトリ細胞が形成する。