京都市南部の高度集積地区(らくなん進都)におけるバス実証運行

京都市南部の高度集積地区(らくなん進都)におけるバス実証運行

2010年10月1日

 工学研究科・低炭素都市圏政策ユニット(以下、ユニット)は、国土交通省近畿運輸局・京都市・地元企業等の協力を得て、京都市南部のらくなん進都(高度集積地区)においてバスの実証運行を行います。

 本ユニットは、都市交通政策分野における人材育成と政策支援を行うことを目的として、昨年度に設立されたもので、本事業は政策支援の一環として実施するものです。

実証運行の目的

  • 公共交通サービスが提供されてこなかった区間において、新たな路線の実証運行を行い、利用動向の変化等を分析することによって、公共交通の利便性向上のための研究に資する。
  • 公共交通の利用促進策であるモビリティマネジメントの実施や、デザイン性に優れたバス車両・バス停の導入などによって、バスシステムの新しいトータルコンセプトの構築を図り、バス交通活性化に関する研究分野における先導的な役割を目指す。
  • 大学の持つ公共交通に関する知見を活かして、地域公共交通の利便性向上を実現することによって低炭素社会の構築などの視点から社会的に貢献する。

実証運行の内容

  • 区間:「京都駅八条口」~「パルスプラザ・京セラ前」
    運行概要
  • ユニットが実証運行主体となり、事業者に運行委託。
  • 実証運行は、2010年10月15日(金曜日)から1年以内。実証運行の終了後は、バス事業者等による一般バス路線として継続運行することを目指すとともに、パルスプラザ前以南への延伸を図る。

 工学研究科では、昨年・一昨年においても京都府木津川市内において、既存バス路線の増便に関する社会実験を実施しましたが、新設路線に関する実証実験は初めてであり、大学が主体となって行う路線バス実証実験としては全国最大規模のものと考えられます。

参考

低炭素都市圏構築と公共交通利便性向上の関係について

 自動車の急速な普及に伴って、世界の多くの都市圏は低密度に拡散し、移動距離の増大等に伴うエネルギー消費の増加など、環境負荷の大きな構造になっています。これらを改善し、エネルギー効率性が高く環境負荷の少ない都市圏を形成するためには、公共交通を活かしたコンパクトな都市構造の形成が求められています。

 今回の実証運行を実施する京都市南部地域は、大企業の本社などが立地して発展してきましたが、道路網の発達に比べて、公共交通の利便性向上が進んでいないため、自動車利用中心の低密度な土地利用となってきました。公共交通の利便性を向上させることによって、コンパクトな集積を持つ都市構造に転換していくことが、求められていることから、便利で魅力的な公共交通サービスの提供を実証的に行うものです。

 なお、この路線においては、京都市が高規格バスの導入を検討しており、本事業は、その先導的役割を果たすものでもあります。

らくなん進都におけるバス実証運行の概要

京都駅八条口(仮称)とパルスプラザ・京セラ前(仮称)を直行運転

  • 始発(京都駅八条口6時35分)、終発(パルスプラザ・京セラ前22時5分)
  • 朝夕15分間隔、昼間時20分間隔、所要時間は15分~18分
    平日のみ運行<イベント実施時や勤務日に合わせて土休日の運行も考慮する予定>
  • 前乗り先払い(降車時は前後の扉から素早く下車できます)
  • 将来的には、油小路大手筋付近までの延伸を想定

新しいバスシステム

  • 路線バスタイプ車両(約60人乗り3台)を使用。
  • らくなん進都にふさわしい斬新なイメージのデザイン(車両・バス停、チケット)。
  • 便利で親しみやすいバスとして「R'EX(京都らくなんエクスプレス)」と略称。
  • バスロケーションシステムを導入し、バスの走行状況をwebで公開。
  • 地元企業の持つ技術を活用して環境適応性やデザイン性に優れたバスシステムを目指す。

※現在、認可申請中のため、運行時刻・バス停等が変わる可能性がございます。

 

  • 京都新聞(10月9日夕刊 8面)、日本経済新聞(10月9日29面)および毎日新聞(10月5日 22面)に掲載されました。