消費社会が成熟して、消費者が選択する商品が生き残り、選択しない商品は消える時代となりました。私たちの食が日々の選択の上に成り立っていることを考えれば、私たちが食の選択に明確な意思を持ち込むことによって、食の生産(農業・食品加工・流通)に繋がるフードシステム全体をより持続的なかたちへと変革することも可能になります。構造化されたフードシステムによって私たちの食選択の幅が予め制限され、方向づけられているという問題もありますが、変革への突破口を考えるという意味で、各個人の食選択を起点とした倫理的消費の可能性を探ってみたいと思います。
食を通じて社会とつながる倫理的消費の基準には、地球および地域環境の保全、生産者の生産・生活・人権の保障、地域の社会・経済・文化の維持などがあるでしょう。それらを確保するひとつの手段として認証システムがあります。有機農業の普及過程において、日本においては第三者的な認証システムよりも対面的な提携関係が優位を占めてきました。しかし、国際的動向への対応やフェアトレードも含めた倫理的消費の発展を図るとき、認証システムも含めた消費体制の可能性について、的確に評価しておく必要があります。
そこで本シンポジウムでは、フェアトレード食品と有機農産物を対象として、倫理的消費の現状を報告していただくとともに、食消費の社会化の手段としての認証システムの意義や課題、限界について、以下の報告を題材にして討議します。
お誘い合わせの上、多数の皆さまのご参加をいただければ幸いです。
日時
2013年2月23日(土曜日) 13時30分~16時30分
場所
北部総合教育研究棟(益川記念館)1階 益川ホール
(所在地: 京都市左京区北白川追分町 京都大学北部構内)
(/ja/access/campus/map6r_n.htm)
プログラム
シンポジウム解題 | 食消費で社会とつながる | 農学研究科 准教授 秋津 元輝 |
第1報告 | 認証型と提携型の強み・弱みと協調の課題 ‐フェアトレード・コーヒーを事例として | 農学研究科 准教授 辻村 英之 |
第2報告 | フェアトレードの普及と認証制度・消費者の役割 ‐フェアトレードシティの実践から | フェアトレードシティくまもと推進委員会 代表 明石 祥子 |
第3報告 | 有機農業の発展と認証制度のあり方 ‐提携・参加型認証・第三者認証 | 埼玉大学 名誉教授 本城 昇 |
ディスカッション |
参加費
無料
申し込み
不要
対象
どなたでも参加できます。
問い合わせ
農学研究科 生物資源経済学専攻
Fax: 075-753-6191
農学原論分野 秋津元輝
Tel: 075-753-6181
E-mail: akitsu*kais.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
農業組織経営学分野 辻村英之
Tel: 075-753-6188
E-mail: tsunji*kais.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
その他
- 「食と農の安全・倫理論」は、故 永井幸喜氏(本学卒業生)、エスケー食品株式会社、ヤマサ蒲鉾株式会社、ヒガシマル醤油株式会社、株式会社モリタ屋、鹿児島県経済農業協同組合連合会、株式会社ロック・フィールド、株式会社明石菊水、全国農業協同組合中央会からのご寄附によって設立されています。
- 本シンポジウムは、科学研究費補助金(基盤S)「食品リスク認知とリスクコミュニケーション、食農倫理とプロフェッションの確立」の共催です。