京大院生のための研究科横断型セミナー2009

京大院生のための研究科横断型セミナー2009

 このたび、大学院生を対象に「京大院生のための研究科横断型セミナー2009」を実施します。

 つきましては、以下の募集要項により募集します。

はじめに(大学院生の皆さんへ)

 学術研究は、近年高度専門化するだけでなく、ますます複雑化、学際化しつつあり、旧来の専門領域の区分に収まらない総合的なアプローチを必要とする課題も急増しています。このような状況の中で、大学院生が広い視野を持ち、新しい学問領域を創造できるような能力を備えるためには、各研究科がおこなっている専門教育に加えて、研究科を横断して実施する教育プログラムが必要と考えられます。今般開催するのは、この必要性に鑑み、世界最高水準の研究をおこなう京都大学の教員が、大学院生のために、幅広い専門知の涵養と国際的な視野の形成、そして世界的リーダーの養成を目指しておこなう、分野横断的なセミナーです。

 研究科横断型の大学院教育プログラムを展開している大学はすでにあり、注目されていますが、それらは通常教員側で準備したものを大学院生に提供する形を取っています。しかし、研究科横断型の教育プログラムを本格的に実践するには、研究科の既存の専門教育プログラムとの間に充分調整を図る必要があるばかりでなく、大学院生の皆さんの研究生活にも無理の生じないようにしなければなりません。

 そこで、本学では、まずは柔軟な形で行事として試行することとし、本学の教育理念もふまえて受講する大学院生の意見を聞き、大学院生自らが積極的にプログラムの作成に参加する方式で企画することが相応しいと考えました。異なる研究科に属する大学院生が、文理の違い、研究科の違いを越えて話し合い、共通に必要とするプログラムの内容を定め、それを自らが参加可能な形態で実践するのが好ましいと判断したわけです。このため、大学院修士課程の入学者数の多い文系・理系各3研究科および1独立研究科の7研究科より1名ずつ大学院生に集まってもらい、会議を開いて企画の検討をしてきました。その結果、2つのコースをもつプログラムにまとまりましたので、本年11月、12月にかけて「京大院生のための研究科横断型セミナー 2009」を実施したいと思います。

 セミナーの実施にあたって、担当の先生方には、大学院生が文理の違い、研究科の違いを越えて一緒に参加し世界最先端の研究を堪能できるように、またセミナーの1時間30分の予定時間を先生の講義のみではなく、先生と大学院生との、あるいは大学院生相互の対話を組み込んでいただき、全員で有意義な時間を共有できるようにお願いしています。こうしたセミナーの成果は、参加した大学院生自身のその後の研究に、貴重な知見や大きな刺激を与えてくれるものと思います。京都大学の大学院教育らしいセミナーに、ぜひ積極的に参加してくれるよう願っています。

コース内容

Aコース 「社会-社会を読む学の新地平」

  • 第1回 11月10日(火曜日) 18時30分~20時00分
    地域研究と世界:『仮想地球』の試み
    -地球観測システムの発達によって、いまや地球の隅々の情報が集まるようになっている。
    また、地球温暖化、環境破壊、大規模災害などグローバルな視点が人々の意志決定の重要な要素になっている。しかし、現代の知的状況は、これらを統一的に理解していく枠組みを欠いている。
    地球をすべて日常性のレベルに還元したり、マスメディアが流布する画一的な地球像に翻弄されないためには、自然科学、人文科学の成果を平易な、かつ読み込み可能な地図として参照しながら、我々の経験を互いに関連づけ、グローバルな認識へと高めていく必要がある。
    学問の垣根をこえて自然科学と人文科学の成果を結合させることによって、地域(日本を含めた)を地球史と人類史の結合として理解する試みを紹介する。-
    【荒木 茂(アジア・アフリカ地域研究研究科 教授)】
  • 第2回 11月25日(水曜日) 18時30分~20時00分
    社会の中の科学技術-科学研究プロジェクトのガバナンスにおける異分野研究者や市民の役割を考える-
    【加藤 和人(人文科学研究所/生命科学研究科 准教授)】
  • 第3回 12月1日(火曜日) 18時30分~20時00分
    現代世界における親密性変容の論理-アジアとヨーロッパはなぜ違う方向へ向かうのか-
    【落合 恵美子(文学研究科 教授)】
  • 第4回 12月8日(火曜日) 18時30分~20時00分
    食品由来リスクと市民のリスク認知の国際比較-人間の情報処理能力の有限性に起因するヒューリスティックとその所属文化グループによる差異を考える-
    【新山 陽子(農学研究科 教授)】
  • 第5回 12月17日(木曜日) 18時30分~20時00分
    A、Bコース合同座談会(予定)

Bコース 「からだ ― 身体をめぐる知の越境」

  • 第1回 11月18日(水曜日) 18時30分~20時00分
    ヒトはなぜ病気になるのか?-神経変性疾患を中心に-
    【高橋 良輔(医学研究科 教授)】
  • 第2回 11月26日(木曜日) 18時30分~20時00分
    スポーツにおける主観と客観のずれ
    【小田 伸午(高等教育研究開発推進センター / 人間・環境学研究科 教授)】
  • 第3回 12月3日(木曜日) 18時30分~20時00分
    心理療法における身体
    【河合 俊雄(こころの未来研究センター/ 教育学研究科 教授)】
  • 第4回 12月10日(木曜日) 18時30分~20時00分
    記号としての身体-ロボットはパントマイムを演じられるか-
    【椹木 哲夫(工学研究科 教授)】
  • 第5回 12月17日(木曜日) 18時30分~20時00分
    A、Bコース合同座談会(予定)

開催場所

京都大学吉田キャンパス(吉田南構内予定)

対象者

京都大学の大学院生

募集人員

Aコース、Bコースとも定員20名程度

受講料

無料

申し込み期間

2009年10月8日(木曜日)~10月23日(金曜日)

申し込み方法

「受講申込書」(Excel)(28KB)をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、以下申し込み先宛にE-mailで申し込み期間内に送付してください。
※メールの件名は【横断セミナー受講申込】としてください。
※ご記入いただいた個人情報は、本セミナーの運営にのみ使用します。

受講連絡

10月末までに受講の可否を連絡します。
※定員を超えた場合は、抽選等を行う場合があります。

修了証

各コースを修了した場合は、総長の修了証が授与されます。

申し込み・問い合わせ先

京都大学教育推進部教務企画課教育企画グループ
E-mail: ksui-kkikaku-kyom02*mail2.adm.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)
TEL: 075-753-7499
FAX: 075-753-2485