総合博物館が国際シンポジウムを開催しました。(2012年7月27日~29日)

総合博物館が国際シンポジウムを開催しました。(2012年7月27日~29日)


ポスター会場の様子

 総合博物館は、第2回東アジア脊椎動物種多様性国際シンポジウム(Second International Symposium on East Asian Vertebrate Species Diversity)を、総合博物館および芝蘭会館において開催しました。シンポジウムでは、日本、韓国、中国、台湾、ベトナムから80名の研究者が参加し59の研究発表が行われ、活発な議論と学術交流が展開されました。

 このシンポジウムは、日本学術振興会アジア・アフリカ学術基盤形成事業「東アジア脊椎動物種多様性研究基盤と標本ネットワーク形成」の一環として行われ、2011年8月の広州大学に続いての第2回目の開催となります。東アジアにおける脊椎動物種多様性研究分野の学術交流と標本ネットワーク形成、さらに若手研究者の育成を、拠点機関である総合博物館、広州大学、ソウル国立大学、ベトナム科学技術院生態学生物資源研究所が協力して進めており、今回のシンポジウムでは、とりわけ若手研究者の育成に重点をおきました。

 27日は総合博物館で標本ネットワーク形成に向けた収蔵室と展示見学、若手研究者育成のための若手研究者集会などを行いました。開催中の企画展「陸上脊椎動物の多様性と進化-京都大学の挑戦-」は各国メンバーとの共同研究の成果が多く含まれており、学術基盤形成に向けた議論を深化させるのに有効な場となりました。

 28日、29日は芝蘭会館でシンポジウムを行いました。開会式で大野照文 総合博物館長は、参加者への歓迎の言葉とこれからの東アジア研究者ネットワークへの期待を述べ、松井正文 人間・環境学研究科教授、呉毅 広州大学教授からは、日本学術振興会の研究プログラムの現状の紹介を交えた挨拶が述べられました。

 開会式に引き続いて行った特別講演では、押田龍夫 帯広畜産大学教授が「パキスタン北部のムササビ類の自然史」について、豊富なデータに基づき、東アジア脊椎動物多様性理解においてパキスタン動物相のもつ意義を紹介されました。続いて、江建平 中国科学院成都生物研究所教授が「東アジア産両生類の生物多様性と分布パターン」について、最新の種分類と網羅的なデータに基づき、東アジアの両生類の生物地理学的特徴に関する研究成果を紹介されました。また、研究発表では、2日間に28の口頭発表、29のポスター発表があり、分類学、系統学、系統分類学はもちろんのこと、比較形態学、古生物学、生態学、保全生物学といった東アジア脊椎動物の種多様性研究に関わる幅広いテーマの研究発表が行われ、活発な学術的議論と情報交換につなげることができました。

 また、標本ネットワーク形成に向けて、東アジア主要研究機関の標本と研究の現況、シンポジウムに先立って行われた長野県での9名の若手研究者による野外調査の成果もポスター発表として紹介されました。

 閉会式では、審査委員の江教授と押田教授により、若手研究者優秀発表賞の表彰が行われました。吉川夏彦 人間・環境学研究科教務補佐員、伊藤毅 霊長類研究所・日本学術振興会PD特別研究員、Kim Sang-In 帯広畜産大学博士課程学生、熊栄川 中国科学院成都生物研究所博士課程学生、徐忠鮮 広州大学修士課程学生、Nguyen Thien Tao ベトナム国立自然博物館研究員・日本学術振興会論文博士支援事業フェローの6名が若手研究者優秀発表賞を受賞しました。

 3日間を通じて開催した国際シンポジウムは、Dang Ngoc Can ベトナム科学技術院生態学生物資源研究所研究員により2013年に第3回をベトナムで行うことが紹介された後、シンポジウム実行委員長の本川雅治 総合博物館准教授による閉会の辞によって終了しました。


押田教授による特別講演

江教授による特別講演

総合博物館収蔵室の見学

総合博物館企画展の見学

若手研究者優秀発表者の受賞者および審査委員

参加者集合写真

関連リンク

  • 日本学術振興会アジア・アフリカ学術基盤形成事業「東アジア脊椎動物種多様性研究基盤と標本ネットワーク形成」のホームページ
    http://www.museum.kyoto-u.ac.jp/aa/