京都大学は、財団法人京都高度技術研究所の協力のもと、大学院も含む全学情報教育を支援する新しい仕組みとして開発したモバイル環境での講義視聴システムについて、京都大学大学院情報学研究科(研究科長:中村佳正)附属情報教育推進センター(センター長:田中克己/以下、情報教育推進センター)が提供する講義を受講している学生に対して、講義視聴システムをインストールしたiPod touchの配付と、全学共通教育および大学院研究科共通教育に関する講義コンテンツの学内配信を開始しました。また、iPad版のシステムの稼働を確認するとともに、より適したシステムの開発を開始しました。
情報教育推進センターの田中克己教授および中村聡史特定准教授が開発した、モバイル講義視聴システムでは、情報教育推進センターで提供する情報教育科目に関する講義を、株式会社リコー製の収録ソフトであるMPMeisterを利用して収録およびアーカイブ化し、iPhoneやiPod touch、iPadで視聴できるようにコンテンツの変換を行います。ユーザ(主として学生)がiPhoneやiPod touch、iPadを利用して講義コンテンツにアクセスすると、これらのモバイル機器上に講義スライドと教員の講義映像・音声が同期して提示されます。また、ユーザのスライドに対する操作により、視聴したい講義内容まで移動したり、講義スライドの一部を拡大したり、講義スライドの一部に対してアノテーション(質問や感想など)を付加したりすることが可能です。アノテーションはサーバに集約され、教員は集約されたアノテーション(質問や感想など)をiPhoneやiPod touch、iPadやウェブインタフェースを利用して確認し、学生からの質問に答えたり、学生が理解できていない箇所を把握したりすることができます。
本開発システムは、アーカイブ化された講義を通学・通勤中や待ち合わせ中などの空き時間を利用して講義を復習したり、教員自身が講義を見直し改善を図ったりすることもでき、学生と教員間の対話を促したりすることができると期待されています。そのため、情報教育推進センターでは、2010年度前期において講義収録を行っている7つの講義について、モバイル講義視聴システムの利用を希望する受講学生の募集を行い、講義コンテンツを介した学生と教員との対話を目指して、システムをインストールしたiPod touchの配付を開始しました。また、iPadでの動作を確認するとともに、iPadにより適したインタフェースの開発も開始しました。なお、iPadで動作している様子については、財団法人京都高度技術研究所が「科学技術フェスタ in 京都(http://www.kagakugijutsu-festa.jp/)」にて展示発表を行います。
配付コンテンツをiPod touchで視聴している様子 | iPadで視聴している様子 |
情報教育推進センターの概要
情報教育推進センターは、IT(情報科学・計算科学)と情報社会制度・ビジネスに関する知識を有しイノベーションに貢献する人材を育成するための、大学・大学院レベルの全学情報教育プログラムの研究・策定と実施を行う組織として、平成21年度に情報学研究科の附属センターとして発足しました。同センターの事業は、平成21年度~25年度の文部科学省特別経費(高度な専門職業人の養成や専門教育機能の充実)によるものです。