主役は表現・創作活動に励む学生たち。
一つの作品を起点に、
「いろ・おと・ことば」のバトンをつなぎます。
感化され、刺激され、ときには反発をしながら、
生みだされた作品のコラボレーションを
お愉しみください
製作者:京都特撮企画
作者のコメント:幼き日からの夢を抱き続ける青年。醜い大人の欲望を前に、正義に震え立ち上がった彼は強大な力を手にする。夢の力、隣合わせの悲劇を噛み締め、辿り着いた先で手にしたモノ。「本当の正義とは何なのか」。全てを打ち砕いた青年は一人、あの日憧れた英雄の姿を見る。
作曲・演奏者
吉田音楽製作所 上野 裕太さん(工学部4回生)
作者のコメント:長い一日を終えて帰路につく途中、突然に旧友のことが頭に浮かび懐かしい気持ちになります。立ち寄った中華料理屋の床はどこも同じで、やはり油分を含んでいました。温かさと、もの悲しさが混在するシーンからイメージして、この曲を選びました。
執筆者:雪だるまプロ 清家 綾音さん
(文学部1回生)
最初から悪役になりたい人なんていない
みんな、なりたい自分を描きながら
その姿を心の奥底にしまって生きている
普段は理想に蓋をして、
誰かを傷つけることもあるだろう
だけど、その扉を誰かがたたいたら
その誰かのために理想の自分になればいい
自分だけのヒーローが道を照らしてくれるから
作者のコメント:自分にとってヒーローとは何でしょうか。子供の頃に見た特撮モノやアニメの主人公かもしれません。しかし、それらはすべて自分の記憶に依るもの。ヒーローの姿は一人ひとりの心の中にいます。音楽の、ノスタルジックで、でもなんとか前に踏み出そうとする雰囲気を感じとったとき、理想の自分と現実との乖離、そして理想への歩みを描こうと決めました。
製作者:京都特撮企画 山田 和正さん
(法学部3回生)
作者のコメント:将来の不安や何かを諦めてしまった時に生まれるどことない虚しさ、虚無、バブル期に生まれ泡沫のように消えていったノスタルジーを、サイケデリックな動画として表現しようと思いました。
平成という時代に様々な文化が生まれ、また廃れていきました。その残り香のようなものを感じていただけると嬉しいです。
作曲:吉田音楽製作所 西山 真生さん
(薬学部2回生)
作者のコメント:サンプリングで作られた映像に影響を受け、早朝の清水寺で野外レコーディングしたものを加工して作った楽曲を選びました。京都特有の空気感と落ち着いた曲調を融合した楽曲です。
執筆者:雪だるまプロ 清家 綾音さん
(文学部2回生)
平成が終わった。令和になった。
――何か、変わっただろうか。
この国の制度的なところでは、天皇という偉い人が変わったらしい。でもこの国の片隅で生きる私に実感できるのは、書類のたった二文字が変わったことくらいだ。
ときどき、時間の区切りについていけなくなる。どうして太陽と月が1回ずつ顔を出すのが1日なのか。どうして365日経つとひとつ歳を重ねるのか。
今日と明日に何か大きな違いがあるとは思えないけれど、365日後に今この瞬間と何か共通点があるとも思えない。
でも、やっぱり、私はこの区切りを求めてしまう。
もし1日がなかったら、1年がなかったら、私は漠然とした何かの中を漂うのだろう。それは真っ暗闇かもしれないし、真っ白な空間かもしれない。どっちにしろ一色の世界は耐えられない。
今日と明日の色はあまり変わらないかもしれないけれど、きっと積み重ねれば何かが変わっている。365回目の変化の日に、振り返って確かめてみるのもいいだろう。
だから、今日も私は、あなたにまた明日と告げている。
作者のコメント:時の区切りというのは不思議なものです。生まれたときから1秒、1分、1時間、1日と、当たり前に刻まれていますが、その根拠はまったく身に覚えがありません。今回、「いろ」と「おと」から時間の流れと繰り返しを感じ、「時」について書こうと思いました。