2024年秋号
輝け! 京大スピリット
京大工房 代表
細砂愛子さん(工学部3回生)
円周率が螺旋状に刻まれたコルクのコースター、二進数で表記されたトランプ、吉田キャンパス本部構内の地図がプリントされたトートバッグ。京大らしいユーモアに溢れる商品の数々を生み出すのが、ものづくりサークル·京大工房だ。「高校や大学で学んだことからアイデアを膨らませています」と教えてくれたのは、代表の細砂愛子さん。その耳元のイヤリングは、なんとイソフラボンがモチーフ。左耳には樹脂粘土で作った枝豆、右耳にはイソフラボンの構造式を模した飾りが可愛らしく揺れる。
裁縫や樹脂加工、レーザーカッターや3Dプリンターなど、扱う素材·技法も多種多彩。メンバー各々の得意を活かしてアイデアを出し合う。さらに、作るだけではないのが京大工房。企画から販売、広報までの全工程を学生だけで担う。「入会当初はなんて活動の幅が広いサークルなんだと驚きました。そつなく運営している先輩方もとても格好良かった」。商品は11月祭や各地のハンドメイドイベントに出店して販売。円周率コースターをはじめ人気商品も多い。
小学生の頃からハンドメイドが好きな細砂さんのお気に入りの作品は「京大トート」。デフォルメした吉田キャンパス本部構内の地図をプリントしたこのトート、実は付属の自転車マークの缶バッチを付けることで、構内のどこに駐輪したかを記録できるアイデア商品。駐輪場所を忘れて自転車を紛失したサークル内の友人の失敗談に着想を得て、その友人と共作した思い入れのある一品だ。「一人だと妥協してしまうところも、二人だともう一歩品質を上げようと頑張れる。互いにアイデアを出し合い、褒めてもらえたり、アドバイスをもらえたりするのは、ものづくりサークルの醍醐味です」。
京大進学とともに地元·鳥取を離れ、京都にやってきた細砂さん。「京大生は変わり者ばかりというイメージに身構えて入学してみると、意外と普通だなと驚きました。でも、仲良くなるとやっぱりみんな変わり者(笑)。二度ギャップがありました」。今では代表としてそんな個性派たちをまとめる立場に。売上管理や広報など、制作以外の活動にも積極的に取り組んでいる。「予算や時間の制約はありますが、なるべく全員が作りたいものを作れる場所にしたい。最近はSNSを活用した広報にも挑戦しています」。丁寧に言葉を紡ぐ姿に、代表としての責任と自覚が滲む。これからも京大工房は、個性溢れるアイデアで驚かせてくれるに違いない。
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