2023年秋号
輝け! 京大スピリット
令和4年度京都大学総長賞
山中 駿さん(工学部3回生)
大きく弧を描きながら助走をつけ、遠心力の勢いを利用して地面を蹴った反発力で跳躍し、飛び越えたバーの高さを競う走高跳。自身の身長よりもはるかに高いバーを越え、2022年度の日本学生陸上競技対校選手権大会で学生日本一となったのが山中駿さんだ。
「バーを飛び越えられれば成功、バーが落下すれば失敗。その場ですぐに結果が分かる爽快さに惹かれました」。中学入学と同時に、友人に連れられてなりゆきで陸上部に入部。そこで走高跳と出会った。「どんどんと記録が伸びるのが楽しく、気がつけば夢中でした」。中学・高校時代にも全国大会に出場し、頭角を現していたが、日本一にはあと一歩届かなかった。「日本一をとるまでは辞められない。大学では必ず日本一を手に入れると決めていました」。
山中さんが所属する京都大学陸上競技部では、100人を超える部員たちが切磋琢磨しながら練習に励む。「指導者はいませんが、部員同士で意見を交わしながら練習しています。仲間の記録が伸びると、私も頑張ろうと気持ちが鼓舞されます」。技術を磨き、記録は高校時代から10cm以上も伸びた。着実に力を付ける一方で、大会ではなかなか芽が出ない時期が続いたという。「走高跳は3回連続で失敗すると、そこで競技終了です。安定して高い確率で目標の高さを成功できるようにならなければ、優勝への道は拓けません。いつも通りの力を発揮すれば優勝できる、そう思えるまで動きを身体に覚え込ませたことが優勝の決め手でした」。
走高跳には、助走、踏み切り、空中の3つの動作があり、それぞれに異なる技能が必要。山中さんが得意とするのは踏み切りだ。「足裏が地面に触れる時間をできるだけ短くして、もう一方の脚を素早くスイングさせるのがコツです」。
自己ベストは2m22cm。関西地方学生記録の2m25cmまであと3cmに迫った。「走高跳に打ち込めるのは、大学院修了までの残り3年。2m26cmを飛び、記録更新することが一番の目標です。日本選手権や世界大会にも挑戦の幅を広げて、記録を残したい」。
優勝してなお、野心に満ちあふれる山中さん。バーを見上げるその瞳は、既に次の高みを見据えている。
>> 京都大学陸上競技部